マンション管理士の独り言・・・1204

マンション管理士の独り言・・・1204

「騒音トラブル 下階の方へ」

マンションでの騒音トラブルについてつぶやいています。

前回は上の階の方へ、今回は下の階の方へです。

市内マンションは、LL45,LH50程度の遮音性能です(数字の小さい方が遮音性能が優れている)。

客観的には、上階からのスリッパの音は聞こえないがサンダルの音は聞こえる、ってものです。つまり「かなり」聞こえます。決して無音ではありません。

特に子供さんの飛び跳ね音は重量衝撃音(LH)に該当し階下へは聞こえます。

子供さんの飛び跳ね音を少しでも和らげようと、床材を受ける金物(スタッド)の底には防振ゴムが貼り付けられています。

また、物体を通じて聞こえてくる固体伝播音を低減させるために床と壁とくっ付けずに、わざとほんの少し隙間を開けて床を自立させるシステム床という工法を採用しています。

それでも聞こえます。

分譲マンションを購入する際に、”鉄筋コンクリート造の、しかも賃貸でなく分譲マンションだからきっと遮音性能は良いに違いない”って勝手に勘違いして入居してくることから騒音トラブルは始まります。

流石に”上階からの音は全く聞こえませんよ”って言う営業マンはいないと思いますが、それでも遮音性能についてキチンと説明している営業マンは少ないのかもしれません。

階下の方の耳の感度の良さ(敏感性)も関係してくるのは言うまでもありませんが、それよりもこのマンションに引っ越してくる前の居住状態の方が大いに関係があります。

2階建てアパートの2階に住んでいた、平屋に住んでいた、など上に人が住んでいない状態で暮らしていた人は、上階の音を全く経験していないので少しの騒音にも敏感に反応します。

”親と同居していた、2階には弟が住んでいたから2階の音も経験している”という方もあるでしょう。

しかし上階に住むのが身内なのか、他人なのかで聞こえ方は大きく異なって来ます。

上に住む弟さんが夜遅くまで音を響かせていたら、”ウルサイ、静かにしろ!”って遠慮なく言えます。また、”ウチの子は元気がいいな”で済んじゃいます。

ところが2階に住むのが他人の場合、気になって仕方ありません。

”こんな夜遅くまで音を立てて親はどんな躾をしているのか”となってしまいます。

どうしても耐えられなくなったら、管理会社へ相談となりますが、この際は”夜10時以降ウルサイ時がある”という曖昧な言い方でなく、騒音発生日をメモしておき、「〇〇月〇〇日△△時に、子供の飛び跳ね音と思われるドスンドスンと言う音がした」と具体的な日時・音の種類を示すことが重要です。

前回もつぶやきましたが、上階の方から”ウチじゃないでしょ。斜め上から聞こえるってこともあるそうですよ”って言われないようにするためです。

これは言い逃れ出来ないように証拠を用意しておくっていう意味ではなく、上階の方との感情的なもつれを避けるための手法です。

”上の階の人は、さんざん人に迷惑をかけておきながら言い逃れする”って一旦思い込んでしまうと解決できるものも解決できなくなってしまいます。

感情的なしこりとなるようなものは早めの段階から失くしておくに限ります。

下階の方は、上階からの特に重量衝撃音は聞こえるってことを認識しなければなりません。

上階の方が、”子供は特に10時以降は飛び跳ねないようにしつけます。また床には防音マットなどを敷き詰めます”と言ってきたら「それで良し」と思わないと仕方ありません。

それでも我慢できないと訴訟にまで持ち込むことはお勧めしません。

上下階での人間関係が決定的に修復できなくなりますし、仮に訴えが認められても他の組合員から”遮音性能が劣るマンションだと世間に知らせてしまった。資産価値が落ちた”と恨まれるのがオチです。

マンション居住者間での訴訟には勝者はいません。全員が敗者です。

上下階の騒音トラブルは、上下階の歩み寄りと忍従しかないというのが結論です