マンション管理士の独り言・・・1207
「共有持ち分と議決権割合」
管理規約は、マンション法と言われる「建物区分所有に関する法律」(略:区分所有法)をベースに作られています。
区分所有法の規定にも2種類あり、強行規定と任意規定です。
強行規定と言うのは、法で決められているものを”いじってはいけない”と云うもので、規約や総会で任意に法と異なるものを規定・決議しても無効とされるものです。
任意規定と言うのは、法で決められているものをそのマンション独自に規約や総会で変更してもいいよ、って云うものです。
強行規定で代表選手は、管理規約改正の場合の様な特別決議(区分所有者数及び議決権総数の4分の3以上)です。
「とても良い管理規約だから改正しにくいように決議要件を5分の4に引き上げよう」反対に「時々の情勢に対応できるように3分の2にしよう」というどちらも無効です。
反対に任意規定の代表選手には、議決権割合が挙げられます。
マンションを購入すると、敷地や共用部分の共有持ち分を取得します。
この割合は、専有面積に比例します。簡単に言えば、50㎡の住戸を購入した区分所有者は、全体のうち50の共有持ち分を取得し、100㎡の住戸を購入した人は全体のうち100の共有持ち分を取得することになります。
多くのマンションでは、この共有持ち分に応じて管理費や修繕積立金を負担します。
稀に管理費一律〇〇〇円、積立金も一律〇〇〇円というのを見かけるくらいです。
この共有持ち分割合に対して議決権割合は、専有面積に応じていない場合の方が普通です。
これも簡単に言えば、75㎡の住戸を購入した区分所有者であっても、100㎡を購入した区分所有者であっても議決権は同じく1票としている管理組合さんがほとんどです。
区分所有法の考えでは、議決権割合も共有持ち分割合と同じとされていますので、75㎡については全体のうち75票、100㎡ならば全体のうち100票となります。
何故区分所有法通りにしていないのかと言うと、マンション管理実務的にとても面倒だからです。
75㎡といってもキリのいい数字とはならず75,〇〇㎡のようの小数点以下が付きますし、何より総会時に大変です。
早見表を作って電卓片手に賛成票をカウントしなければなりません。
つぶやき主はまだお目にかかったことはありませんが、総会時に実際に電卓叩きながら賛成票をカウントしている管理組合さんもあるやにお聞きします。
法律ではありませんが、管理規約を作成・改正するときの参考にしてね、ってことで国交省が標準管理規約を作成しています。
この中で議決権割合について、「面積差があまりない時は同じく1票としても構わない」としています。
面積差があまりないというのはどの程度を指すのかについてはいろんな議論がありますが、1,5倍はセーフ、2倍ではアウトというのが多数説の様です。
この標準管理規約の考え方が商売している人や株投資している人には通じないことがあります。
企業の株主総会などでは、小数点以下の議決権までが重要になってくる場合が多いようで、簡単に小数点以下を切り捨てたり、丸めて1票にすることに異論を唱えます。
わかんなくはないけど、実務的に大変なので、あまり拘らないで、って言いたくなってしまいます。