マンション管理士の独り言・・・1214

マンション管理士の独り言・・・1214

「水戸黄門」

水戸黄門のビデオシリーズを借りてみています。リアルタイムでは夜8時からの放映でした。

8時35分頃におもむろに印籠を取り出し「この紋所が目に入らぬか」とお馴染みのセリフが出て、助さん格さんに風車の弥七なんかも加わってバッタバッタと悪人をやっつけます。

「この紋所が目に入らぬか」というセリフがそれまでの鬱憤を吹き飛ばして大層スカッとします。毎回毎回同じパターンなのですが、オカシイもので分かっていてもスカッとします。

由美かおるの入浴シーンも花を添えてまだ純情だったつぶやき主もドキドキしながら見ていました。

しかし敢えてよく考えてみると、現代日本の様な法治国家ではあり得ないストーリーです。

黄門さん一行は、警察官から検事、更には裁判官、そして遂には死刑執行人までやってしまいます。

先ずは、事件の概要を掴むため捜査令状もなしに勝手に容疑者宅に忍び込みます。

時にはおとり調査を行い、容疑者を痛めつけて白状させます。

このような違法な捜査、取り調べで掴んだ証拠なんて現在では無効です。

そして容疑を固め犯人逮捕に向かいます。犯人逮捕時も令状なんてありません。

裁判所の令状なく無断で容疑者宅へ押し入り、容疑者の私物をさんざん壊します。

容疑者たちを腕にものを言わせて、殴りつけ痛めつけボコボコにして逮捕します。

そして最後の最後に例のセリフが発せられます。まるでマルチンルターの免罪符の様です。

何でもありです。罪状も黄門さんが決め、更に裁判官の役目も果たします。

容疑者には弁護士も付かず反論の余地さえありません。

言うことを聞かず歯向かってくる容疑者には、極刑である死刑を執行します。法務大臣の執行確認書なんてありません。黄門さんは北朝鮮の金正恩が3人くらいいる感じです。

良く言えばスーパーマン、悪く言えば独裁者です。

この黄門さんの役割を理事会や管理会社に求める組合員がいます。いますというより、苦情を持ち込むほとんどの組合員が黄門さんを希望します。

ゴミ出しルールや来客用駐車場の使用法など共同生活のルールを守らない、夜遅くまで騒音を発するなどの苦情が寄せられます。

誰がルールを守ってないかを特定させ、その人に注意を与え、今後そのようなことがないように誓約させ、場合によれば謝罪させることを求めます。

理事会から依頼された管理会社フロントマンは、何とかルールを守っていない組合員を特定させ、注意を促しても黄門さんのように「印籠」を持っていません。

ルールを守っていない組合員さんであっても組合員さんには変わりありません。

あくまでもお願いベースです。

また、その組合員さんもフロントマンに対しては目線が上です。「私が組合員である管理組合から委託されてんでしょ」ってな感じです。

管理会社は黄門さんではありません。せいぜいうっかり八兵衛です。しかも、黄門さんの後ろ盾のない、うっかり八兵衛です。

水戸黄門とマンション管理を無理やりくっ付けた、かな・・・。です。

何でもありなのは、黄門様でなくつぶやき主の方だったかな。