マンション管理士の独り言・・・1229

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「仕様の変遷」

夜間静かな住宅地域系に建つマンションと、便利はいいけどその分騒音が激しい商業地域系に建つマンションとでは同じ売主さんでも仕様が異なってきます。

一番典型的な例がサッシュの防音性能です。商業地域マンションではT2サッシュが採用されますが、住宅街マンションではT1サッシュが一般的です。

防音に関して言えば、エアタイトサッシュなどが使われることがあります。

具体的な例として、第一交通産業さんの黒崎ランドマークス(商業地域)はT2サッシュでしたが、グランドパレス一枝(住宅街)ではT1サッシュが使われています。

住宅街でT2サッシュはオーバースペックですので、この選択は正しいと思います。

サッシュスペックはマンションの立地で変わるのが当たり前です。

しかし、階下への遮音性能に一番影響してくるコンクリートスラブに関しては、商業系や住居系に関わらず出来るだけ厚くして階下への遮音性能を向上させるべきです。

またまた第一交通産業さんですが、黒崎ランドマークスでは最大スラブ厚(在来スラブ)を240mmとしており、パンフレットでは保証値ではないもののLL45等級の遮音性能としています。

その1年後に開発されたグランドパレス一枝では最大スラブ厚を250mm確保し、遮音性能はLL40等級と黒崎ランドマークスより10%向上させています。

今後は250mmスラブ厚を標準とするのならば喜ばしいと思っていましたが、現在建築中のグランドパレス小倉小文字通りではボイドスラブで275mmとなっていて、この仕様ならばLL45くらいしかありません。

グランドパレス一枝より後退しているのが残念です。

グランドパレスシリーズは、「LL40の遮音性能の優れたマンション」と言うのを社内標準としていただけないものかと思っています。

同じことがリビオシリーズにも言えます。

8年前に建った桃園パークフィールズでは床スラブをボイドスラブ300mmとしていました。しかしその後の中井・鉄王では275mmと薄い仕様になっています。施工ゼネコンさんはそれぞれ異なりますが、設計士は基本的に一緒なのに、です。

更にワンランク上のはずのグランリビオシリーズの高見七条や沢見に関しても275mmと薄くなっています。

グランリビオは大手町や高見五条では、床は鉛入りベースパネルを含む四重構造となっていて遮音性能はLL40を大幅に下回るほどの優良な遮音性能でした。

平成5年ころまでに建った市内マンションは床スラブ厚は150mm程度が一般的だったので、上階からの音は今よりもかなり響いていました。

それに比べれば現在の200mm厚のスラブは遮音性能は向上しているとはいえますが、まだまだ十分とは言えません。

スラブを厚くすることは工期や軒高、住戸数の確保、なにより販売価格に影響してくるのはわかりますが、購入者の長期にわたる快適なマンションライフのために遮音性能の向上に舵をきってもらえないかと思っています。

一旦厚くしたスラブを以前に引き下げるということは止めましょうよ。