マンション管理士の独り言・・・1233

マンション管理士の独り言・・・1233

「ネズミは食べないチーズ」

分譲マンションには屋上から雨水排水竪管が各階バルコニーを経由して地盤面の雨水桝まで通っています。

バルコニーの雨水処理も賄うため各階バルコニーにもドレンがついています。

最近のほとんどの分譲マンションにはバルコニーに、水栓が設置されています。

15年ほど前まではバルコニーに水栓を付けているマンションは見られませんでした。販売センター長時代に”バルコニーに水栓がないと不便だ、付けてよ”とよく言われたものでした。しかしオプションでも用意していません。

”申し訳ありませんが、お付けできません”でした

あれば使い勝手がいいのは分かっていますが、水栓があると大量の水を流しバルコニー床をデッキブラシでゴシゴシってやりたくなります。

バルコニー床は防水仕様となっていませんので、これをやられると階下バルコニー上裏に水漏れが生じるって恐れがあるので、水栓は敢えて設置していませんでした。

しかし最近マンションは、バルコニー床は防滑シート貼り、水栓のみならずSK(スロップシンク)も設置というのがほとんどです。

バルコニー水栓で使用した水も排水処理しなければなりません。

SKを用いず、バルコニー床に垂れ流し処理のところもあります。垂れ流しせずに水栓の下にバケツを置いて溜まったらドレンへ流してください、って使用法になります。

水栓の下部にSKを用いた仕様のものもあります。ここでチーズの登場です。

バルコニー床から1mくらいのところで上からの雨水竪管を切ってSKからの排水管を横引きでこの雨水竪管へ連結させます。

この連結部材をチーズと呼びます。口径10センチくらいのTの字の形をしています。

そして切られて残った下の雨水竪管とチーズの下部とをまた連結させるという方法を取ります。

SKもあり、排水竪管へ横引き連結されて、スッキリと収まっていて見た目もキレイですが、ところがとんだ落とし穴があります。

排水竪管の掴み金物が1か所しかなくて、しかもチーズ連結部よりもかなり上に設置されていると、排水竪管がグラグラと動き、やがてチーズと排水竪管の連結部が破れて漏水してしまいます。

動きが大きい場合、チーズ部分のみならず、SK下部のステンレス製の排水管のトラップ部分に亀裂が走る場合もあります。

掴み金物1か所仕様マンションでは、新築後10年目くらいから多くの住戸でチーズ連結部に亀裂が入り、やがて漏れ出します。

対応策は簡単なものです。掴み金物をもう1か所増やせばいいだけです。

しかし実際に掴み金物増設工事となると、排水竪管と外壁面までの隙間が10㎝くらいしかなくアンカボルトが打てなくて大変苦労します。

また、掴み金物は外部で用いるものですから、ステンレス製というのが定番ですが、以前のものは輪っか部分や目皿部分がスチール製であったりして、補修も容易でない場合が多いです。

要するに建築の時点でケチらずに掴み金物を2か所付けといてよ、って話です。

これを分かっていない設計士さんは大間抜けです。分かっていてやっていればドケチです。