マンション管理士の独り言・・・1235

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「一発仕上げ」

一発で仕上げるって男らしく聞こえますが、バルコニー床仕上げの話です。

以前のマンションはバルコニーにはSK(スロップシンク)のような水栓はありませんでした。あれば便利が良いのはわかっていましたが、水を大量に流しデッキブラシでゴシゴシってやられると階下への漏水を発生させかねませんので、敢えてつけていませんでした。

従ってバルコニー床仕上げは、雨水が少し振り込む程度で大量の水を流される恐れがないので、現在のように防滑シート張りでなく防水モルタル仕上げがほとんどでした。

キチンと防水しているのは、手摺際の排水溝(ウレタン防水)だけでした。

ところが最近マンションでは、SKや水栓仕様が当たり前になっています。

そうなると水栓から大量の水がバルコニー床に流される可能性が大きくなります。そこでバルコニー床仕上げを防滑シート張りにするようになりました。

出来栄えも豪華に見えますし、その上キレイに仕上がります。

防滑シートを張るのでその下のコンクリート表面は少々不陸があっても構いません。

表となり見えることはないからです。

防滑シート張り仕上げの場合、防水モルタルをコンクリート表面に塗ることは行わず、直接シートを張っていきます。

これがコンクリート一発仕上げです。

コンクリート一発仕上げの場合、打設精度が大事です。コンクリート表に防水モルタルを塗らないので、キチンとした勾配の確保は必須ですし、また凹凸もないようにキレイに打設しなければなりません。

勾配に関しては、水栓からの排水や雨水を処理するために、バルコニーに面するサッシュから手摺際の排水溝に向かって勾配を取ることが必要です。

水は高いところから低いところへ流れるっていうのは鴨長明のみならず子供でも知っていることです。

これが一発仕上げのため勾配が緩やかだったり、全体的に見ればサッシュから手摺際の排水溝までの勾配は確保されているけれど所々で盛り上がりがあり、水が排水溝にスムーズに流れず途中で溜まってしまうということがよく見られます。

エアコンドレン溝の途中で盛り上がりがあり、ドレン水が排水溝まで流れ切らず、途中ではみ出してしまい、防滑シート下のコンクリートにしみ込んでしまうという状況はよく見られます。

加えて最近のマンションのバルコニーは奥行きを広く、2m近く取る傾向にあります。

2m間をキチンと勾配確保するのはかなりの難しさを伴います。

コンクリート表面に防水モルタル仕上ならば、コンクリート打設の精度はそれほど高くなくても構いませんでした。左官さんがモルタルでしっかり勾配を確保し、途中で凹凸なんて出ないようにキレイに仕上げていました。

購入者は、バルコニーに水栓が必要です。また床仕上げに関しても、無機質で亀甲模様のひび割れが出てくるモルタル仕様よりも、防滑シートを好まれます。 それ故にコンクリート打設精度の更なる向上が求められます。腕を磨けよ、って話です。