マンション管理士の独り言・・・1240
「旦過市場」
小倉の台所と言えば旦過市場です。かつては年末になるとおせち料理の材料買い出しで母親の荷物持ちに駆り出されたものです。
旦過市場のことを何故つぶやいちゃうかと言うと、小倉っ子だからというのはありますが、それよりも旦過市場はマンションだからです。
マンション法と言われる「建物の区分所有に関する法律」(略称:区分所有法)がイメージしているマンションそのものだからです。
マンションと言うと多くの人が地上10階建てとか、19階建てのタワーマンションという上に伸びた建物を想像するのでしょうが、区分所有法がイメージしていたマンションと言うのは時代劇で出てくる”長屋”です。平屋建てで横に長い”長屋”です。
横に長い一つの建物を住戸ごとに区割りし、基礎・屋根・外壁などはそれぞれの住戸を所有している人たちの間での共有という建物形態です。敷地も全員で共有です。
しかし昭和・平成・令和では横に長い長屋というよりも、上に伸びる建物の方が一般化し、国交省の「標準管理規約」では現在の地上何階というマンションをイメージして作成されるようになりました。
旦過市場はマンションなのです。
現在、区画整理事業として旦過市場の再開発が進められています。令和9年度事業終了を予定しているようです。
来年度(令和4年度)からは、いよいよ解体が始まる予定ですが・・・、難しい・・・じゃないかな。
旦過市場はマンションですから、解体や建て替えには際しては区分所有法に基づいて行われることとなります。
マンション建て替えは全国で25棟くらい成功しています。福岡市でも1件建て替え成功事例がありますが、北九州ではまだ1件もありません。
建て替え成功事例では、容積率に余裕があったというのが成功のための共通要因となっています。
100戸のマンションを容積率を目いっぱい使い130戸にして、30戸分を売却することによって建て替え費用を捻出しようというのが基本的スキームです。
旦過市場は平屋ですから上に伸ばせば、現在の建物よりもボリュームのある建物は建てられそうです。
また建て替えには何よりも地権者の合意形成が必要ですが、これがかなりの困難を伴います。
旦過市場でも地権者によって「土地建物委員会」というのが発足したようですが、地権者130人中106人が加入したようです。残り24人が大変。
これから山あり谷ありの交渉、合意形成が始まります。
担当者が数年おきに代わるお役人では難しいのでは、というのが率直な感想です。
「土地建物委員会」は地権者によって構成されているそうですが、おそらく住戸(店舗)部分は持っているが土地の所有権は持っていないという、建物については共有者だが土地については共有者でないという人もあるはずです。
土地の所有権は持っているが(土地の共有者)、店舗部分は所有していない、って反対のパターンもあるはずです。
更に、土地の共有持ち分も店舗部分も所有しているが親族と共有名義になっていて代々の相続により現在の共有者はどこにいるのかわからない、ってケースもありそうです。
お手伝いしてほしい時は言って。