マンション管理士の独り言・・・1241

マンション管理士の独り言・・・1241

「何をいまさら」

一昨日(10月6日)22時ころ東京で最大震度5強の地震が発生しました。

列車が脱線したり、配水管から漏水して水が吹き上げたり、タイルが剥落した建物もあったりでかなりの被害が出たようです。

電車も運休が相次ぎ、多くの通勤通学の足が奪われ駅の前には大行列が出来ていました。

また、28のエレベーターで閉じ込め事故が発生したようです。

閉じ込め事故となるエレベーターは地震対応が出来ていない旧式のエレベーターです。

平成10年(?)以降のエレベーターは地震P波対応ですから、閉じ込め状況にはなりません。地震の波には2種類あり最初は人間では感じることのできないP波(予震)、その数秒後に有感波S波となります。緊急地震警報は、P波の段階で発令されます。

P波対応エレベーターでは予震段階で停止します。

そして非常用バッテリーが作動し上か下か、どちらか近い方の階に着床し、中の人が降りた後には扉が閉まります。

その後は検査者の検査が終了するまで停まったまま、閉じたままです。

つまり最新式のP波対応では、閉じ込め事故は発生しません。

ただし病院のように、”通電するまでの間、非常用発電機が作動しエレベーターが稼働する”なんてことはありません。エレベーターに付いている非常用バッテリーはただ単に閉じ込め防止のためだけの効果しかなく、通電するまでの間はエレベーターは止まったままです。

自分のマンションのエレベーターが地震対応となっているかどうかは、3年に1度の特定建築物定期報告書を見ればわかります。

エレベーターが「既存不適格」となっていたら地震対応できていない、従って閉じ込め事故が発生するエレベーターということです。

「既存不適格」というのは違法ではなく、設置当時の法令では適当だったけれど、その後の法令改正などで現在の法令では適当でなくなったものを指します。

しかし、改善した方が良いには決まっています。

今回の地震での被害を受け、ワイドショーなどでは、エレベーターの閉じ込め事故やエレベーター停止中は高層階帰宅困難者が発生するなんてやっていますが、何をいまさらです。

本当の問題は、エレベーターのみに留まらないということです。

地震や各種災害の後に停電となれば、マンションは木偶の坊になり下がります。

当然エレベーターは停止していますので階段を使って家まで帰り着かなければなりません。更に給水ポンプが停止しますので、蛇口をひねっても水が出ません。

1階の給水車まで水を汲みにいかなければなりません。

最近のマンションは、以前のように受水槽や高置水槽を利用しての給水方式でなく、戸建てと同様に前面道路から直接各住戸へポンプを使っての給水(直結増圧給水)ですから停電となればポンプが稼働せず、つまり水が出ません。

機械式駐車場にも入出庫できません。

1階の車両だけはゲートを手動に切り替えれば入出庫できますが、鍵を保管している管理人室に入室しなければならず、管理人室の鍵を誰が保有しているのかを事前に確認しておかなければなりません。

気の利いたマンションならば管理人室の鍵差し込み口の上にもう一つプラスティック蓋で囲われた鍵があり、その蓋を壊せば入室できるってマンションもあります。

その他、オートロック、宅配ボックス、共用部照明器具・・・など生活できなくなっちゃいます。

先ずは、災害時・停電時に住んでいるマンションではどのような状況になるのかを把握しておくことから始めなきゃ、です。

つぶやき主が関与しているマンションでは、そのマンションの特徴を反映した「災害マニュアル」を作成しています。

「参考にしたい」って・・・  ちょっと考えさせて。