マンション管理士の独り言・・・1243

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「東京地震の破壊力」

10月7日(木)東京を最大震度5強の地震が襲いました。マグニチュード5,9でした。

この地震により、エレベーター閉じ込め事故が28件発生したそうです。

閉じ込め事故となるエレベーターは地震時停止機能がない既存不適格のものですが、平成10年以前に建てられたビルやマンションのエレベーターではほとんどがこれに該当します。

築23年の小倉北区のマンションですが、2年後くらいにエレベーターリニューアルを検討しています。

T社製で、メンテナンスもT社子会社にやってもらっています。いわゆるメーカー系のフルメンテナンスです。

エレベーターメーカーは、そのエレベーターの発売から23年くらいを過ぎると部品を作らなくなります。

部品を作らなくなってもしばらくの間は在庫がありますが、それも2年くらいで枯渇しちゃいます。

ですからエレベーターは築25年~30年でリニューアルを実施します。

リニューアルする箇所は、一般的に①巻き上げ機 ②ロープ ③制御盤 ④カゴ内内壁仕様 ⑤各階入り口ドア仕様 です。

これらに要する費用は約900万円ってとこでしょうか。

T社製のエレベーターのリニューアルでは、O社やH社、M社、F社など他のメーカーは見積もりさえ応じてくれません。メンテ会社も右に倣えです。

T社に限らず、どのメーカーも他社製のエレベーターリニューアルは行いませんし、見積もりさえ提出しません。

応じてくれるのはSECエレベーターとか西武エレベーター、西日本エレベーター、エレベーターコミュニケーションズなどの独立系だけです。

独立系から出される見積もりは、700万円くらいです。

メーカー系より2割程度安くすみます。

その後のメンテナンスもリニューアルを依頼したところに引き続き依頼しなければなりませんが、この費用もフルメンテナンス仕様でメーカー系が55000円くらいですが、独立系では40000円くらいで済みます。

金額面だけ見れば圧倒的に独立系が安いのですが、故障した場合の復旧までの時間がメーカー系より長くなるという傾向があります。

高層階にお住いの方は、エレベーター修理に時間がかかるというのは、その間階段利用となるので、生活上にとても支障をきたします。

北九州市役所の様にエレベーターが4基横に並んでいるという仕様ならば、仮に1基の修理時間が長くなってもそれ以外の3基は稼働しているので、高層階に行くのには支障ありません。

事実市役所エレベーターはM社製ですが、メンテナンスは西部エレベーターが担っています。

ところが分譲マンションの場合は、エレベーターは1基多くても2基です。

2基あったとしても並列配置でなく、部屋番号1号室~5号室までは1号機でしか行けない、6号室~10号室までは2号機のみと代替えできない場合が多いので、修理時間が長くなると高層階までは階段を使わなくちゃ、ってことになります。

2年くらい後を予定していたエレベーターリニューアルですが、東京地震の余波で少しでも実施を早めるべきだというご意見が出され、理事会審議の最重要項目となりました。

高層階にお住いの方は、修理時間が長くなれば生活できなくなるとしてメーカー系を推しますが、日頃エレベーターを使用しない低層階の方は、少しでも安く済む独立系を推します。

結構デリケートな問題です。