マンション管理士の独り言・・・1245
「エレベーターリニューアル」
最近エレベーターに関するつぶやきばっかりな気がしますが・・・。
築25年のマンションです。当初からついているエレベーターは当然ながら地震対応出来ていないタイプです。ですから、地震が来れば閉じ込め事故になっちゃいます。
3年に一度の特定建築物定期調査報告では、これが故に既存不適格となっています。
メーカーさんに聞くとまだ部品は作っているようですが、近々製造中止になり、遅くとも3年に以内には、リニューアルの必要がありそうです。
理事会でもまだ健全に稼働するし3年先くらいを見据えてまだまだ使い続けようって雰囲気でした。
しかし、先日東京を襲った震度5強の地震で様相は一変しました。
”閉じ込められたら怖い””閉じ込められたら何時出られるかわかんない”というご意見が上がるようになりました。
そこで前倒しして来春5月の総会でエレベーターリニューアルを決議しようということになりました。
理事長からはいつものように数社から見積もり取ってというご依頼です。
しかしエレベーターに関し数社からの見積は難しいのです。
このエレベーターはT社製です。T社は喜んで見積もり提出してくれますが、そのほかの大手であるM社H社O社F社は見積もりさえ出してくれません。
他社製のものについては見積もりを出さないのか?出せないのか?
全面交換ならば喜んで見積もりを提出してくれますが、1部既存部品を残してのリニューアルの場合では見積もり提出には応じてくれません。
相見積もりに応じてくれるのは、独立系だけです。SECエレベーターや西武エレベーター、西日本エレベーターやエレベーターコミュニケーションなどです。
メーカー系とこれら独立系では、見積金額がかなり違ってきます。
独立系の方が2~3割安く上がります。そしてそれ以降のメンテナンスもその独立系に依頼することになりますが、この費用も2~3割安く済みます。
これだけ見れば独立系が良いに決まっていますが、唯一の難点はメーカー系に比べて部品供給が遅れる傾向にあることです。
純正部品でなければ対応できないときは、メーカーに部品供給を依頼するのですが、これが遅れる傾向にあります。
メーカーの営業マンの話では、「部品供給順位は自社(メーカー系)にメンテを依頼してもらってるお客様が最優先で、独立系にメンテさせているお客様はその次になります」とのことです。
若松の8階建てマンションでは、部品供給が遅れて2か月もエレベーターが停まったままでした。
また、一旦メンテ会社を独立系にして、”部品供給が遅れるからメーカー系に戻そう”って場合には、600万円ほどのお金をメーカー系メンテ会社から請求されます。
部品を全部純正に取り換え、信号伝達先もメーカー系へ変更する必要があり、お金がかかるって理屈ですが、半ばペナルティの様な気がしないでもありません。
1階や2階など低層階にお住いの方は、日頃エレベーターを利用しないので、少しでも安く済む独立系を勧めますが、高層階にお住いの方は部品供給が遅れてエレベーターが使用できない時間が長くなれば死活問題ですから、メーカー系を支持する傾向にあります。
この合意形成にもエネルギーが必要です。