マンション管理士の独り言・・・1246

マンション管理士の独り言・・・1246

「光回線」

固定電話や光通信などマンションの通信設備は、先ずはマンション内のMDF盤にケーブルが引き込まれます。

その後MDFより各階に設置されているIDFへ配管され、そこからから各住戸へ空配管されています。

空配管というのは、IDFから各住戸のリビングや寝室の電話端子盤まで直径5mm程度の管を通すことを言います。

固定電話や光ケーブルを利用しようとする際は、その配管の中にケーブルを通すこととなります。

最近さかんに”ニューロ”を始めとする格安光ネットがCMされていますが、もしこれを導入しようとするならば、先ずはMDFまで配線しなければなりません。

配線するにはMDF内部に200mm×200mmくらいのスペースが必要なので、これが不足していると配線できないってことにもなります。業者が事前に十分な空きスペースがあると確認してから管理組合への申し出となります。

築30年のマンションです。今まで無線形式でネットを利用していましたが容量やスピードが遅いので光を利用したいというお申し出がありました。

この管理組合ではNTTの光回線をもうずいぶん前に導入していました。

NTT西日本のホームページにも”ハイパースピード隼”が利用できるマンションとして表示されています。

IDFから住戸へ配線する業者さんが来ましたが、配線できないと敗戦の弁です。ウフッ、ウフッ

マンションMDFまでは配線できていますし、そこからIDFまでも配線済です。

IDFから先の宅内配線が出来ないようです。

IDFからその住戸へ向かっている配管を利用してケーブルを通そうとすると玄関横の部屋の天井辺りでゴソゴソという音がしてそこから先には進みません。

リビングの電話端子盤を開けてみると電話線は通っていますが配管は見当たりません。

どうやら施工時に管を途中までで止めて貫通させずに(配管せずに)、電話線だけをリビングまで引っ張ってきているようです。

天井を破って配管しないと光ケーブルは引き込めませんという結論です。

しかし他の住戸では、しっかり配管が設備され、ケーブルも支障なく通り光が利用できています。

つまり、このマンションではキチンと配管されている住戸と管が通っておたず(配管されていない)線だけを通している住戸とがあるようです。

詳しくは天井を破って確認するしか方法がありません。

厄介な問題です。この件について理事会では頭を抱えています。

天井スラブの下なので専有部分ではありますが、配管については共用部分です。

本件に関しては共用部分として管理組合が対応することとなりそうです。

しかし「明らかな施工ミスなのを管理組合費用で負担するのかっ」てご意見も出されました。売主さんとの交渉もつぶやき主の仕事です。

売主さんは「30年前のことだから不明な点が多い。また当時は光配線という概念さえなかった。固定電話は利用できる状態にしているので瑕疵はない」と強弁です。

「リビングまで配管している住戸としていない住戸とがあるのはオカシイでしょ。配管していないのは明らかに施工ミスでしょ」というつぶやき主の問いかけにも明らかに「30年も前の話だよ。そっちで解決してよ」って手をヒラヒラの逃げの態勢です。

配管されていない住戸所有者には何の落ち度もありません。「リビングまで配管されている住戸もあるのに、お宅はハズレだったね」なんて言えません。

管理組合での何らかの対応が必要です。

配管されているかどうか全住戸にアンケートを実施しては?」というご意見も出されましたが、その結果多くの住戸で未配管が判明した時はどう対応するの?ってことになります。今回の件は、今後同様な事例が発生した時の先例となり以降も踏襲されていきます。

しっかり議論しなきゃですが、「売主さんもっとしっかりした施工してよ」って感じです。