マンション管理士の独り言・・・124

「新築マンション購入法・・・その3 分譲駐車場」

嫌な響きだし、とても問題のある分譲方法です。
そもそも敷地全部を購入者に売っておきながら、何の法律的根拠で敷地内の駐車場を分譲できるのか、さっぱりわかりません。
フツーの場合、駐車場使用料は修繕積立金として管理組合に入金されていきます。
しかし、分譲駐車場だと駐車場使用料が管理組合に入金されず、売主に入ってしまいます。仮に使用料が1台月額8,000円で、10台が分譲駐車場ならば、ひと月に80,000円。年間約1,000,000円が管理組合に入ってこないことになります。
15年後に大規模修繕工事を実施するとして、15,000,000円が入っていない計算になります。

このような分譲方法に対し、管理組合が売主を訴えました。
「分譲駐車場の代金を管理組合に返せ!」です。
第1審では管理組合の勝ちです。
判決内容は「売主は管理組合が正式発足するまでは、管理組合の地位を代行しているに過ぎない。分譲駐車場の販売代金も管理組合に変わって預かっているに過ぎない。管理組合が正式に発足したら、返却しなければならない」と極めてスッキリしたものです。

これに対し、売主が控訴しました。
今度は、管理組合が負けちゃいました。残念!
内容は、「購入者は、はじめから分譲駐車場があることを知って購入している。たとえ、分譲駐車場を購入していない購入者であっても、その分安く住戸を買えているし、管理組合もその限りにおいて利益を得ている。したがって分譲駐車場の購入代金は管理組合へ返さなくて良い」です。
しかし、その後こうも続けています。
「このような分譲駐車場という販売方法は、入居後の管理組合活動を妨げるおそれがあるし、望ましい販売形態ではない」とも言っています。
望ましくないけれど、分譲駐車場という販売方法は有効、というなんとも分かりにくい判決でした。

この判決を錦の御旗に北九州では分譲駐車場の多いこと、多いこと。
他の都市ではほとんど見られない、北九州特有のとても遅れている販売方法です。
分譲駐車場なら未来永劫駐車場所が確保できていい、なんて思っていませんか?
管理組合にとって、とても問題ある販売方法なんですよ。
もっとも最近は分譲駐車場であっても、未来永劫とはいかないようで・・・このお話はまた次回に