マンション管理士の独り言・・・1250

マンション管理士の独り言・・・1250

「建築士のお仕事」

しつこいようですが、今回も建築士さんのお仕事についてつぶやきます。

建築士さんは業務に当たるに際し、建築士法第二条の二で、「建築士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」と義務付けられています。

また、建築基準法第1条には「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」と規定されています。

つまり分譲マンション建築に際し売主不動産屋さんから設計監理を受託した建築士さんは、施主である売主不動産屋さんからの要望を聞きながらも、

①国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とするも建物となるように

②常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならないのです。

従って施主である売主不動産屋さんから、”納期はいついつまで厳守”と言われても”いくら突貫で工事しても無理!そのままでは「国民の生命・健康・財産」が保護できない”と思ったときには”もうちょっと納期を延ばして”って言わなければなりません。

そうでないと、もしタイルなどが剥落して運悪く通りかかった人が怪我を負った場合に、

”お施主さん(売主さん)が納期厳守って言ったからじゃん。あれだけ無理って言ったのに”と言っても責任は免れません。

平成19年7月6日最高裁は、「設計者や施工者は、発注者などと異なり契約関係にないその建物に住む居住者などに対してもその建物が建物としての基本的安全性が欠けることがないようにしなければならない。それを怠った結果居住者などの生命や財産が侵害された時は、不法行為としてその責任を負わなければならない。」と言っています。

更に平成23年7月21日には。これも最高裁が、建物としての基本的安全性が欠けるというのは、居住者などの生命を危険にさらすような瑕疵をいい、現実的な危険をもたらしている場合に限らず、そのままほおっておけば将来危険が現実化するかもしれないという場合も含まれる」と言っています。

具体的な瑕疵の例として

①当該瑕疵を放置した場合に、鉄筋の腐食、劣化、コンクリートの耐力低下等を引き起こし、ひいては建物の全部又は一部の倒壊等に至る建物の構造耐力に関わる瑕疵

②建物の構造耐力に関わらない瑕疵であっても、これを放置した場合に、例えば、外壁が剥落して通行人の上に落下したり、開口部、ベランダ、階段等の瑕疵により建物の利用者が転落したりするなどして人身被害につながる危険があるときや、漏水、有害物質の発生等により建物の利用者の健康や財産が損なわれる危険があるとき

を挙げています。

施主である不動産屋さんの方ばかり見ていて、不都合ある建物になってしまい、その不都合に

より挙句に他人を傷つけたり車に損傷を与えた場合には、設計監理を請け負った建築士さんに

も損害賠償の責任が生じるってことです。