マンション管理士の独り言・・・1251

マンション管理士の独り言・・・1251

「普通決議と特別決議」

総会での承認の取り方には、2つあって普通決議と特別決議がそれです。

普通決議と言うのは、総会参加者の過半数の賛成で承認となります。議決権総数の過半数でないことに要注意です。

総会参加者のカウントの仕方は、実出席者+書面による議決権行使者+委任状提出者です。

これに対し特別決議と言うのは、重要な議案の承認方法で、総会参加者ではなく議決権総数と区分所有者数のそれぞれ4分の3以上の賛成が必要です。

議決権総数と区分所有者数とわざわざ2つ記載しているのは1人で複数住戸を所有している場合を想定してのものです。

特別決議は強行規定なので、この4分の3と言う数字を動かしてはいけません。上げても下げてもどちらも無効です。

どの様な議案が特別決議なのかと言うと、管理規約にキチンと明記されています。

①管理規約の制定、改正  ②敷地や共用部分の変更(その形状または効用の著しい変化を伴わないもの、耐震補強工事を除く)  ③組合員に対しての専有部分の使用禁止、競売請求。占有者に対しての引き渡し請求  ④建物の価格が2分の1を超える部分が滅失した時の滅失した部分の復旧  ⑤その他特別決議で承認した方が良いと考えた議案 となっています。

管理規約のベースとなる法律は「建物の区分所有に関する法律」(略称:区分所有法)ですが、この法律は集会主義を原則としており、つまり集まって皆で話し合って決めようとするものです。

さらに特別決議⑤にあるように普通決議か特別決議か判断が分かれるものについては、安易に普通決議とせずに大多数の賛成を得る努力につながる特別決議にすべきだと考えられています。

また、②のカッコ書き部分の「その形状または効用の著しい変化を伴わないもの」という文言について、何が該当するのか抽象すぎるという批判に応える意味もあってか、標準管理規約ではコメント欄で具体的に特別決議に該当するものを例示しています。

①スロープや手摺設置工事は普通決議だが、外付けエレベーター設置工事は特別決議

②耐震改修工事は基本的に普通決議  ③オートロック設備や防犯カメラ設置工事は普通決議  ④IT工事化に際し光ケーブル設置工事は基本的に普通決議  ⑤長期修繕計画に基づいて実施される鉄部塗装・外壁改修・屋上防水・給排水管延命工事などは普通決議

⑥集会室・駐車場・駐輪場の増改築工事で大規模なものや著しい加工を伴うものは特別決議 ⑦窓ガラスや玄関扉変更、高置水槽撤去工事などは普通決議と規定されています。

要するに現況と形状や用途が異なる場合は、特別決議です。普通決議か特別決議かで迷った時も特別決議とするべきです。

理事会は、議案を通すことを目的とするのでなく、その議案に一人でも多くの賛成者を得られるようにすべきなのです。

つぶやき主は桜の木を伐採するのも特別決議とします。(2回とも否決されましたが・・・)