マンション管理士の独り言・・・1261

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「資産価値の落ちないマンション」

日鉄興和不動産が”グランリビオ高見七条桜の杜”を販売しているときに、この「資産価値の落ちないマンション」をセールストークにしていました。

今回”グランリビオ高見七条水辺の杜”販売に際してこのトークはあまり聞こえなくなったように感じていますが、どうしたのかな???っと

前回前々回と「新築マンションの買い方」と名うって住んで以降、トラブルにならないようなマンションを選びましょう、ってつぶやきました。

そんな中、熱心なファンから、”どんなマンションが資産価値が落ちないの?資産価値の落ちないマンションを買いたい”ってお問い合わせをいただきました。

何かの都合で将来マンションを手放す際に買った時以上の値段で売れるのは無理だとしても、値下げ額を少しでも圧縮したい、ちょっとでも高く売りたいっていうのは分からないわけではありませんが、しかし・・・。

資産価値云々でマンションを購入するという風潮にはちょっと首を傾げます。

商売人ならば、”安く仕入れて、高く売る”って、いうのが鉄則です。

いわゆる「損か得か?」という物差しで物事を考えていきます。

これに対してマンションと言う自分の住処を買うのに、「損か得か?」を尺度にするのは如何なものかって考えています。

同様に、”金利が下がり控除額の高い今が買い時”っていうトークにも頷けません。このトークも「損か得か?」が判断基準になっています。

多くの方が35年と言う長い期間ローンを返済しなければなりません。毎月〇〇万円もの額を返済しなければいけません。

購入しようと思っているマンションが、この毎月〇〇万円支払うことに値するか?このマンションに住むことが毎月〇〇万円の返済に見合っただけの快適な生活が営めるのかによって判断されるべきです。

そもそも「資産価値が落ちない」ってどういう判断基準があるのでしょう?客観的基準はあるのでしょうが、信憑性に欠けます。つぶやき主は全く信用していません。と言うか、全く根拠のない不誠実で無責任なセールストークです。

中古マンション販売環境から考えて、「資産価値が落ちない」なんて判断するのは不可能です。

例えば、中古として売り出すときに同じマンションからは勿論同じエリアからも中古マンションの売り物がない場合(即ち希少性のある中古マンション)と、同じマンションから中古マンションが沢山売りに出ている場合とでは、売り出し価格は大きく異なります。

競合物件が全くない状態と沢山ある状態とで販売価格が変わらないわけがありません。

また周辺環境の変化も中古マンションの販売価格に大きく影響を及ぼします。

小倉北区のマンションで、1階にスーパーマーケットが入っていました。買い物便利が良いということで新築分譲時は早期に完売できました。しかし近年このスーパーマーケットが撤退してしまい、次のテナントさんも決まっておらず1階は”モヌケの殻”状態です。

しかも撤退したスーパーマーケットからは、管理費などの滞納も始まりました。

当然このマンション住戸を中古で売り出す際は市場よりかなり落とさなければなりません。このマンションの資産価値は落ちたって事でしょう。これって売主さんや管理会社さん、管理組合含め誰のせいでもありません。

反対に近所に大型スーパーマーケットが出来た、JR駅が出来た、快速が停まるようになった、ってことで中古マンションとして売り出す際に高値を付けることが出来た、って場合もあるでしょう。これが売主さんのおかげでないのは明らかです。

「資産価値が落ちないマンションって?」というご質問をいただいた方には、”そんな将来のことは分かりませんし無責任な返答も出来ません。それよりも毎月の返済に見合ったマンションライフが営めるかどうかで判断してください」ってアドバイスでした。