マンション管理士の独り言・・・1264

マンション管理士の独り言・・・1264

「それって本当?」

上下階の騒音トラブルが持ち込まれることが増えてきました。

階下の人が「耳が良すぎるんじゃネエ」ってレベルではなくて、同じマンションから騒音トラブルがいくつも寄せられるもので、構造に問題があるとしか考えられないケースが増えています。

「以前も賃貸マンションに住んでいた。上階からの騒音はあるにはあったが、このマンションは酷い」「居間でくつろいでいると、家族が入浴する際の風呂フタを閉める音が響いてくる」っていうのもあります。

騒音トラブルは、上下階の問題に矮小化されがちですが、構造上本当に問題がないのか?分譲時に謳っている遮音性能が本当に確保されているのか?って事には目が向きません。

上階の人は、「下の人は神経質すぎる」「ウチが留守しているときの音まで苦情を言ってくる。ウチじゃないのに」です。

これに対し下階の人は「何時まで子供を走り回らせているの。どんな教育してんだ」「何度言っても騒音響かせる。非常識!こんな人はマンションでなく戸建てに住めばいいのに」って感じです。

当事者の頭の隅には、「このマンションの遮音性能は、本当にパンフレット通りの遮音性能が確保されているの?」って疑問を持つことが欠落しています。

しかし本質はそのマンションの遮音性能がパンフレット通り確保されているかどうかなのです。

市内マンションでは、遮音性能をLL45・LH50としているところがほとんどです。

そして残念なことに、本当にその遮音性能が確保されているかどうかは分かっていないというのが実情です。

竣工後に騒音測定を行っていないのです。

新築マンション購入者はパンフレットやモデルルームなどを見て住戸を購入します。

パンフレットなどのL値を確認して、「それでいいよ。その遮音性能で私は購入します」と、なります。

完成後引き渡しを受けた住戸で、そのL値が確保されているかどうかわからないというのは売主の態度としては無責任です。

竣工後にキチンと騒音測定していれば、「パンフレット通りの遮音性能が確認できています。そのL値以上の静けさを求められても困ります」と言えるのです。

例えて言えば、「プリウスを購入されたのにレクサスの性能を求められても困ります。」です。ところがプリウスを買ったのに、ヴィッツの性能しかなければパンフレットに偽りあり、となります。

騒音測定していないので、プリウスの性能が本当にあるの?どうもヴィッツくらいの性能としか思えない。って痛くもない腹を探られるのです。

家電製品はじめ多くの商品で、製品性能を記し確かにその性能が確保されています。

和牛でないのに和牛とレッテル張れば商品偽装として手が後ろに回るのです。車ではリコールの対象となり対象車は全部修理されます。

マンションの遮音性能は、竣工後に騒音測定しないので、売主さんは好き勝手に付けることが出来ます。

事実同じスラブ厚でLL45の記載であったり、LL40であったりすることも散見されます。

本当にLL45,LH50あるのかどうかは、誰も知らない。