マンション管理士の独り言・・・1265

マンション管理士の独り言・・・1265

「集合郵便受け」

やがて築30年のマンションです。1階エントランスに集合郵便受けがついています。

ダイヤル式で郵便物を受け取るタイプです。

形やサイズ、機能は異なっていても全てのマンションも同様に、1階エントランスに集合郵便受けがついています。

この集合郵便受けは共用部分ですが、その住戸の方のみが使用できる専用使用部分と言う扱いです。

従って通常の使用に伴う管理や補修はそれを使用している人の責任で行わなくてはなりませんが、天災地変や経年劣化による不具合については管理組合で補修や取り換えを実施しなくてはなりません。

頻度や扱い方の丁寧さにもよりますが、30年もすると不具合が発生します。

入口のバネが効かなくなっていつも半開き、取り出し口の蓋が閉まらない、ダイヤルがバカになっている、物がぶつかってアチコチに凹みが出来てる、などです。

複数の組合員から不具合の苦情が寄せられます。

不具合ヵ所がそれぞれ異なるため、その一つ一つに対応するにはいろんな分野の職人さんが必要となり、それだけ費用がかさみます。

また、繋がっているポストの一つだけを交換するっていうのも出来ません。少なくとも一列ブロック毎の取り換えとなります。

現在はどこにも不具合がないというポストであってもやがて傷んでくることは明白です。全部を一斉に取り替えるのが、結果的には安く済むという判断に落ち着きます。

しかし、全部のポストに何らかの不具合があるのなら事は簡単ですが、全く何ともない、今後数年間は充分に使える、ってポストが半数以上占めているので厄介です。

健全なポストの使用者からは、「自分宅のはまだ十分に使えるので取り替える必要はない。不具合が発生したのは扱い方が乱暴だからじゃないか」などの意見が上がります。

今回のマンションでは、最初にポストの不具合苦情が持ち込まれたのは5年くらい前に遡ります。

その時の理事会では、「もうしばらく辛抱して使ってもらおう、不具合ポストが一定数出てきたら取り換えかな」って方針を出しました。

どのくらいが一定数なのかは定かではありません。

不具合率が全体のうち何%になったら一斉に取り替える、って指標があるわけではありません。

出来れば、分譲当初に1個1個取り換えが出来るポストを設置してもらえれば有難いのですが、そんなのはお目にかかったことがありません。

健全なポスト使用者からの「まだ取り替える必要がない」というご意見と、不具合ポスト使用者の「もう何年も我慢して使用している。この先何年待たせるつもり?」っていうご意見の調整を付ける作業が待っています。

分譲マンションでは、集合郵便受けに限らずアルミ面格子・玄関ドア・トランクルームドア・チャンバー扉など全戸一斉に悪くならず、まだらで劣化現象が現れる設備があるので厄介です。