マンション管理士の独り言・・・1266

マンション管理士の独り言・・・1266

「専横抑制」

いきなりですが、クエスチョンです。

戸数13戸のマンションです。全部同じ面積です。Aさんが1戸、Bさんも1戸、Cさんも1戸、Dさんは残り10戸を所有しています。  
問1,総会で普通決議の場合、可決する要件は何でしょうか?
問2,特別決議の場合では、どうでしょう?

”こんなの分かりますよ”ってことでしょうが、マンション管理士らしく詳しく説明します。

問1の回答は以下となります。

同じ面積の13戸のマンションですから議決権総数は、13となります。区分所有者総数はABCDで4です。

まず総会が有効に開催されるためには、議決権総数の半数以上を有する組合員の出席が必要(標準管理規約)です。

全員出席は〇です。 Aさん、Bさん、Cさんが出席してもDさんが出席していないと×です(13議決権のうち3議決権のみの出席とカウント)。

Dさんのみの出席は〇です。(13議決権のうち10議決権の出席となる)。

4人の内たった1人の出席でも議決権10が幅を効かせます。Dさんが出席しないと総会は有効に成立しません。

そして、普通決議議案は出席組合員の議決権の過半数で承認となります。

仮に全員が出席した総会でAさんBさんCさんが反対してもDさんが賛成すれば、その議案は承認となります。

4人のうち3人が反対しても10議決権を持っている1人が賛成すれば承認ですし、その逆の場合もあります。

普通決議の場合、その議案が承認されるかどうかは過半数の議決権を持っている人の意向次第です。

問2の回答は上記と全く異なってきます。

特別決議の承認要件は、組合員総数の4分の3及び議決権総数の4ぶんの3以上で決するとなっています。総会出席者の4分の3ではないことに注意が必要です。

全員が出席した総会で、AさんBさんCさんが反対し、Dさんのみが賛成したとすると、13議決権のうち10議決権が賛成しています。

議決権総数では4分の3をクリアしていますが、組合員総数4のうち1しか賛成していません。従ってこの議案は否決となります。普通決議とは異なる結果となります。

特別決議の場合、議決権総数の4分の3に加えて組合員総数の4分の3という高いハードルが設定されているのです。

議決権総数だけを承認要件としちゃうと、多くの議決権を持っている人の”やりたい放題”になってしまう可能性があるのでわざわざ組合員総数を持ってきているのです。

多くの議決権を持っている組合員の暴走を防ぐために、「他の組合員からも賛成者を出さなければいけませんよ」ってしているのです。

この特別決議は強行規定ですので、管理組合独自で4分の3と言う数字を大きくしても小さくしてもどちらも無効とされます。

アンタッチャブルな数字です。