マンション管理士の独り言・・・1267

マンション管理士の独り言・・・1267

「誰か知らんけど、頭のいい人が考えた」

分譲マンションに関しては、きっと頭のいい人が考えたんだろうな、って事があります。

例えば、前回つぶやいた議決権総数と組合員総数の関係です。

地主などが過半数の議決権を保有している場合、全ての議案はその地主が賛成しなければ承認されませんし、他の組合員全員が反対でも地主がたった一人賛成すれば承認されちゃうって事にも成りかねません。

そこで”皆さんの管理規約”には、マンションにとって重要な議案である特別決議に関しては議決権総数に加えて組合員総数まで承認要件に組み入れられています。

承認のためには議決権総数の4分の3、さらに組合員総数の4分の3が必要です。

どちらか一方でも数が下回れば否決となります。

大口議決権所有者に対し、”自分だけじゃなく、他の組合員の賛同を得られるような議案を提出しなきゃ、だよ”って諭しているようです。考えた人は頭いい◎

”皆さんの管理規約”では、ってわざわざ注釈をつけたのは管理規約のベースとなる区分所有法では特別決議のみならず普通決議であっても、承認要件に区分所有者総数が組み込まれています。

それじゃあんまり承認のハードルが高くなりすぎるってことで標準管理規約では特別決議にのみ区分所有者数を組み込んでいるってことです。

また、専用使用部分って概念も素敵です。いかしています。

玄関ドアなど共用部分だけど、その住戸所有者のみが独占的・排他的に使用できる部分のことです。

”いっそのこと専有部分にしちゃえば”って思う人もいるかも知れませんが、それは誤りです。専有部分にするって言うことは法律的には、「所有権を得る」ってことになります。

所有権という権利は、そのものを自由に”使用・収益・処分”できる権利のことです。

例えば専用使用部分である玄関ドアを専有部分(=所有権)にしちゃうと、鉄扉が気に入らないと言って木製ドアに変更すること(=処分行為)が出来ちゃいます。

変えられちゃうと消防法をクリア出来なくなってしまい、火事の際、類焼延焼しちゃって大惨事になるかも知れません。

勝手にその住戸所有者が処分変更できないように専用使用部分って概念をわざわざ造っているのです。これも、考えた人は頭いい◎

保険金受領に関しても感心する規定があります。標準管理規約ならば、第24条2です。

「理事長は、~保険金の請求及び受領について区分所有者を代理する」って規定されています。マンション内で何らかの事故が発生し、その事故が管理組合が付保している損害保険の保険金給付の対象となる場合についての記載です。

本来受給された保険金は、可分債権なので区分所有者全員へ持ち分割合で分配しなければなりません。

しかし分配しちゃうと、事故によって生じた損害を補修することが出来なくなってしまいます。これでは本末転倒です。

そこで本条により、組合員は予め理事長を代理人として保険金の請求を認めているし、さらに給付された保険金についても組合員に代理して受給していいよ、って定めているのです。

これを考えた人も頭いい◎