マンション管理士の独り言・・・1268

マンション管理士の独り言・・・1268

「コロナ禍なんて想定していなかった区分所有法」

そのマンションを購入した人が、購入した専有部分の面積に応じて共有持ち分を所有することになるのが共用部分や敷地です。

この購入者全員で共有する共用部分の維持管理を行うために管理組合があります。

そして管理組合は「建物の区分所有等に関する法律」(略称:区分所有法)の適用を受け、同法を順守して活動しなければなりません。

区分所有法の基本的方針は集会方式です。

区分所有法では集会と呼ばれますが、一般的には総会を指します。

つまり共有者は、共有関係にある目的物(=共用部分)の維持管理に関することは皆で集まって話し合って決めましょう、とされています。

同法34条第2項では、「管理者(=りじちょう)は少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない」となっており、さらに、43条で「管理者(=理事長)は集会において毎年1回その事務の報告をしなければならない」と規定されています。

”理事長は年に1回総会を開催するし、そこで1年間の事務の報告もします。その他の議案についても皆で集まって話し合って決めましょう”ってことです。

この法律を作った時はそれで良かったのですがコロナ禍の折、”皆が大勢で集まって話し合って決めましょう”は出来なくなってしまいました。

総会が原因でコロナ陽性者が出てクラスターが発生した、なんてなればオオゴトです。

では、皆が集まって話し合わなくても良い方法はないのか?総会に代わる方法はないのか?って言うと、総会に変えて書面決議やネットでの開催の途がないわけではありません。

同法45条に「集会において決議すべき場合において、区分所有者全員の承諾がある時は書面または電磁的方法による決議をすることが出来る」と規定されています。

”何だよ!出来るじゃン”と早合点してはいけません。「区分所有者全員の承諾」が必要なのです。一人でも反対すれば集会を開催しなければならないのです。

マンションの建て替え決議でさえ5分の4以上の賛成なのに、”皆が集まる総会に変えて書面による総会”とすることについては全員の承諾が求められているのです。

とてもハードルが高いのです。全員の承諾なんて実務上は不可能です。

更に区分所有者全員の承諾は、総会ごとに必要と解されています。

”前回書面総会でOKだったから、今回もOKとみなそう”、はダメです。

もう一つ言えば、この書面や電磁的方法による総会は、34条第2項の「毎年1回集会を開催しなければならない」という規定を満たしてはいない、と解釈されていますので通常総会は必ず集会形式で開催しなくてはならない、となってしまいます。

コロナ禍の折、総会を開催すれば、“コロナが流行っているときに総会なんてするなよ。皆が集まらないですむ方法考えろよ”って言われます。

「コロナ禍、出来るだけ出席は控えて書面による議決権の行使をお願いします」って議案書に書いていれば、“出席を控えろって何だよ。多くの人に参加してもらわなきゃ、だろ”“こんな重要な議案をコロナ禍の折に提案するなよ”です。

どぉ~すりゃあ~いいの~さ 思~案~橋。状態です。