マンション管理士の独り言・・・1272

マンション管理士の独り言・・・1272

「販売価格」

分譲マンションの販売価格は、3つの金額の合計で構成されています。

土地価格+建物価格+消費税です。このうち消費税は土地には賦課されません。

ですから土地価格を、専有面積割合で割り戻せば、土地の坪単価が判明します。

この土地価格は、はっきり言ってしまえば売主さんの付け放題です。

平成10年に改正された国土利用計画法(略称:国土法)では市街化区域内の2000㎡(約600坪)以上の土地の売買があった時は、契約締結後2週間以内に市の建築局都市計画課へ届ければいいことになりました。

事後に届ければ良いだけになり、ここでは販売価格についての勧告などは行われません。

改正前の国土法では、面積要件無し(つまりどんなに小さくても)、売買契約締結前に届け出し、知事は価格についても審査し、価格が高すぎるって思ったときは、中止または勧告を行うこととなっていました。

価格については、知事は相当な価額に照らして適正かどうかを判断し、売買に関し最終的には許可制となっていました。

これはバブル期の急激な土地価格の高騰を抑えようとして価格についても予め知事が判断し、許可を与えることとしたものでした。

しかし平成10年、土地高騰も収まり、また売買を円滑に行うためにも金額については触れる必要なく、単に事後の届け出制と変更したものです。

近年、土地価格は高騰せず落ち着いており国土法は一定の成果を上げたと言えるでしょう。

しかし、新築マンションの販売価格に占める土地価格は、びっくりするような金額が設定されている場合があります。

マンションが建つくらいですから坪当たり20~30万円程度の金額ではありません。坪単価50~60万円くらいはざらです。

近くの戸建て用土地の坪単価が50万円ならば、マンション敷地の坪単価はもう少し安くなります。

戸建て用土地は、一区画ごとに土盛りや擁壁を造らなければならず、更に給水・都市ガス・排水などの設備を備えておく必要もあります。大きな敷地に1か所それらの設備が備わっていれば良いマンション敷地は戸建て用地より割安になって当たり前です。

ところが全体の販売価格にしか目がいかない購入者の盲点を突いてのことなのか、戸建て用地以上の坪単価を設定しているケースを見かけます。

以前のように、売買契約前に価格について知事にお伺いを立てる必要がなく、また許可制でなくなったので、付け放題になっています。

現在分譲中のマンションの中でも、戸建て用地の1,5倍くらいの坪単価を付けているものもあります。

「その値段で買うって客が言うてるじゃん。自分の土地をいくらで売ろうと、とやかく言われる筋合いじゃねーよ」って言われればその通りですが・・・。

試しに売買契約書の土地価格を専有面積で割り戻してみては。売主さんの商売に対する姿勢が透けて見えますよ。