マンション管理士の独り言・・・1274
「24時間換気」
2003年7月に施行された改正建築基準法では、全ての建築物に24時間換気システムを導入することが義務付けられました。
24時間換気システムは、窓を開けていなくても外気を室内に取り込め、室内の空気を排気できるシステムです。
このシステムの導入が義務付けられた主な理由はシックハウス症候群の予防です。
家具や建材・クロス貼りの際の接着剤の成分にホルムアルデヒトが使用されていることが多く、これにより目がチカチカしたり涙目、咳、酷い人になると吐き気、頭痛などの症状が現れることがあります。
マンションを含め最近の住宅では☆マーク4つの、いわゆる”Fフォー・スター”の建材が使用されており、カタログにも大きくノンホルムアルデヒトと記載されています。
”Fフォー・スター”とはホルムアルデヒトが全くないか、あってもごく微量を指します。
また、ホルムアルデヒトは新築後1年もすると徐々に減少していき、3年後くらいには人体にはほとんど影響がないくらいのレベルになるようです。
換気の種類には第1種、第2種、第3種とあり、マンションでは第3種換気が使用されます。
第3種換気とは、機械による強制換気と窓の上や横に設置しているガラリからの自然給気で室内換気を行うものです。
機械(換気扇)により強制排気を行い、排気された分の空気をガラリという自然口から取り込もうとしているのですが、排気に給気が追い付かず、換気扇を点けていると玄関ドアが開かなくなったり、排水パイプの封水を破って異臭がしたりする場合があります。
特にキッチン換気扇を利用する場合には、冬は寒くても窓をほんのちょっぴり開けて使用することをお勧めします。
キッチンの排気は流し上の換気扇により単独で行われますが、24時間換気システムは実際には、浴室天井裏に換気扇が設置されていて、これによりトイレ・洗面所・浴室の3室を強制排気します。
また、この換気扇は換気だけでなく、暖房用熱源機の暖房用温水を利用して温風を送り、浴室の暖房で洗濯物の乾燥を行う浴室暖房機能も備えています。
ハンガー10本(約2キロ)程度の洗濯ものならば2時間30分程度で乾かしちゃう優れものです。
浴室天井の点検口を覗けばトイレ・洗面所から直径10センチのジャバラ状のダクト管が換気扇と接続されていますが、この2つの管は通常は10センチ程度離して設置します。
これらが接触していると擦ったような音が室内にまで聞こえることがありますから、要チェックです。
また、24時間換気というネーミングの通り強弱はありますが常に機械(換気扇)で強制排気していますので、ガラリは常に開けておかなければなりません。
24時間換気システムの中枢の換気扇の寿命は10年~15年といったところでしょうか。
使用する頻度によっても異なりますが常にファンが回っているし、空気とともにゴミやホコリも吸い込んじゃいますので壊れやすくなっちゃいます。メーカーは月に1度はフィルター掃除を行ってください、なんて言っていますが、それは無理でしょう、って感じです。
機械自体の保証期間は2年間ですが、補修用部品の保有期間は本体製品の製造打ち切り後10年間とされています。
24時間換気システムの場合、給排水の様に竪管で上の住戸と下の住戸とが連結しているってことはなく、また給気も排気もその住戸内で終結していますので、共用部分ではありません。従って専有部分となり、もし換気扇が壊れてもダクト管が損傷しても基本的には管理組合の埒外で、その住戸所有者の責任と負担で補修など対応していただくこととなります。