マンション管理士の独り言・・・1276

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「上下階騒音トラブル」

騒音トラブルに関しては、調べれば調べるほど騒音発生原因が多岐にわたります。

直上階の方に苦情を申し出ると、「自分宅ではない」「その時間は留守にしていた」などと反論されることがありま。

全ての騒音が直上階からではないとしても、8割がたは直上階だと思ってまず間違いありません。

ただし下階の方が”騒音”と言っているものが、受忍限度を超える音であるかどうかはまた別の問題です。

音の伝わり方には大きく2つあり、話し声の様に空気を通して相手に伝わる空気伝播音ともう一つは壁や床を伝わって聞こえる固体伝播音とになります。

人が聞こえる音域は、20hz~20,000hz(ヘルツ 音の高さ)と言われ、男性の話声は500hz、女性が1000hz、赤ちゃんの泣き声は4000hzくらいです。

また、床の衝撃音に限っては、スプーンを落とした時の様な軽い音を軽量衝撃音(LL)、子供さんの飛び跳ね音に代表されるような重たい音を重量衝撃音(LH)と言います。

軽量衝撃音の方は、床の仕上げ材によって階下へ聞こえる音量が異なって来ます。

一番音がしやすい仕上げが木質フロアー、その次にカーペット、もっとも聞こえにくいのが畳と言う順番になります。

以前はカーペット敷きの洋間もあったのですが、ダニの発生などもあり、最近では、洋室床仕上げは階下へ一番音が伝わりやすい木質フロアーというのが一般的です。

軽量衝撃音に対して重量衝撃音は大体63hzくらいの低い音で、これに対する遮音性能は床のコンクリートスラブの厚みに係ってくるとされています。

コンクリートの床が厚ければ厚いほど階下への遮音性能が増すことになります。

また、厚みだけでなく質量にも関係しますので重たければ重たいほど遮音性能は向上することとなります。

一般に10セ㎝のコンクリートの透過損失は45db(デシベル 騒音指数)と言われています。

一方から100dbの音が入ってくると10㎝のコンクリートの壁により、反対側では55dbに減音されます。10㎝の壁を通過することで音が45db損失したということです。

このコンクリートの厚みを増せば増すほど重量衝撃音は軽減することが各種実験でも証明されています。

しかし床コンクリートを厚くするとそれだけ重さも増してしまうので、これを支える柱を太くしなければなりません。

柱を太くすればそれだけ部屋に柱型が出っ張ることになり、居住空間が狭くなってしまいます。また当然ですが建築コストもそれだけ余計にかかってしまいます。

床コンクリートを厚くしさらに軽量化を図ったものがボイドスラブ(中空)というものです。

ボイドスラブにもいろんな種類があり、中空部分に鋼管を入れて両端を発泡スチロールで蓋をするタイプとか、円状や楕円状、四角にした発泡スチロールを中空部分に詰めるなどです。軽量化されているので、小梁が不要で、天井を見上げた時にスッキリ感があります。

しかし、床が20㎡(12畳)の時は50dbの騒音指数だったものが、同じコンクリート床厚でも30㎡(18畳)になると55dbに落ち込んでしまうという実験結果もあり、床面積が広くなればなるほど遮音性能は低減します。

小梁を失くすということが、階下への遮音性能の低減を招いているという説も有力視されています。

また、ボイドを埋めるものが発泡スチロールであり鋼管であっても空気がありますので共振作用があり、つまり太鼓現象が生じるともいわれています。

まだまだ続きます。