マンション管理士の独り言・・・1277

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「上下階騒音トラブルについて 床工法」

分譲マンションの床工法には大きく2種類あります。

接着剤でクッション材が施された床材を床コンクリートに直接くっ付ける直貼り工法と床コンクリートの上に防振ゴム付きの支持脚(スタンド)を立て更にその上に床を設置する工法で、これは床が2重になるから2重床、または置床工法と呼ばれます。

北九州では以前は直貼り工法が多かったのですが、最近では置床工法しか見かけなくなりました。

置床工法のメリットは、①床下空間に配管・配線ができる ②床コンクリート表面の多少の不陸はOK ③床高が自由に調整出来て、更に空気層があるため断熱性能が高く、底冷え感がない。 ④点検口が造りやすい ⑤出来栄えがキレイ(直貼りは波打ち感がある)などがあげられます。

一方デメリットとして、①階高が高くなる ②直貼りに比べて建築コストが多少高い があります。

肝心の床衝撃音、特にお子さんの飛び跳ね音に代表される63HZ程度の重量衝撃音に関しては、残念ながら置床よりも直貼りの方が遮音性能が高いというのが大手ゼネコンさんの研究などで証明されています。

空気の層があるので共振作用(タイコ現象)が悪さしているというのが根本の原因です。

住宅性能評価制度では、重量衝撃音を低減させる方法として、①床のスラブ厚を増加させる ②床を重くする ③振動を抑えるように床端部の取り付け方を工夫する ④衝撃音を増幅させないように床仕上げ材を吟味する という4点があげられています。

これをもっと掘り下げた具体的な方法としては、①支持脚の底の防振ゴムの硬さ・・・壁際にはゴム硬度70~75 平場部分にはゴム強度60=70を使用する ②床板を曲がりにくく、重さのあるものにする・・・20mmパーティクルボード+12mm床フロアー材では不十分で、間に12mmの合板や強化石膏ボードを挟み込む 更に鉛の入った防振ゴムを入れれば効果絶大 パーティクルボードは木チップを熱厚成型したのものなので、温度収縮が激しく夏場には隙間が出やすくなり、それだけ遮音性能が低減 ③床下の空気層確保・・・63HZ重量衝撃音を完全にシャットアウトするのは60mm程度の空間が必要だけど、実際には無理なので最低でも13mm確保 ④壁と床との境目を隠す幅木と床フロアー材との隙間を2mm程度とする・・・床下の壁と床コンクリートとがくっ付いている部分には緩衝材を入れる という工夫が必要とされています。

また、床下で床を受けるための際根田(キワネタ)を壁にくっ付けている仕様が以前は主流でしたが、これでは床と壁とがくっ付いているため特に固体伝播音にはマイナスです。

このような仕様にしているマンションはないと思いたいのですが、これも確認することが必要です。

先週は久留米市主催のマンション管理セミナーで90分話してきました。久留米市からは毎年のようにお声がけがありましたが、コロナコロナで何度も延期となり、”やっとお目にかかることが出来ました”なんて言われて、赤面しちゃいました。

リモートでの開催だったので、会場には偉い方数名しかいません。

反応がないと、どうもやりにくくて。