マンション管理士の独り言・・・1279

マンション管理士の独り言・・・1279

「騒音トラブルについて裁判所の考え方」

これまでマンション騒音トラブルについて数回つぶやいてきました。

下の階の人は被害者意識もあって「上階住民は子供のしつけがなってない」、上階住民は「下の人は音に過敏すぎる」って考えています。

どっちの言い分が理にかなっているかを最終的に判断するのは裁判所ということになります。別に”裁判起こしましょう”って煽っているわけではなく、裁判所はマンション騒音トラブルに対しどのように考えているのかを予め知っておきましょうってことです。

上階の子供の飛び跳ね音悩んでいる下階の人が訴訟を提起したという事案があります。

そこではこのように判事しています。①人は静かな環境の元、平穏な生活を営む権利を有している ②社会生活上無音というのは不可能で、他人が発する騒音が違法と言うのならば、被害の状況・加害行為の公益性の有無・態様・回避可能性を総合的に判断 ③社会生活上の受忍限度を超えていることが必要 ④発生源住戸は子供をしつけるなど誠意ある対応をするのが当然 としています。

そして③の受忍限度について北九州での客観的基準は、住居系地域においては6時~22時までの間は55db、22時~翌日6時までの間は45db。商業系地域においては6時~22時までの間は60db 22時~翌日6時までの間は50dbとなっています。

商業系エリアに建つマンションは騒音に対する受忍限度が住居系に比べ10%くらい緩やかになっています。”便利が良いのでその分少し騒がしいよ”ってことです。

この騒音指数を頻繁に超えるときは受忍限度を超えていると判断される可能性があります。

平成24年東京であった裁判では、21時~翌日7時までの間は40db、午前7時~21時までの間は53dbを超えてはならないと東京都条例を厳格に順守した決定もなされています。

40dbとは、図書館や住宅地の昼間程度の静けさ。50dbは、静かな事務所。60dbは静かな乗用車、普通の会話程度の音です。

東京都条例の53dbなんてすぐに超えちゃいます。

上記子供の飛び跳ね音裁判では、上階の方が下の階からの苦情に耳を貸さず、子供に対しても何のしつけも行わなかったことが、誠意がないと判断されました。

この裁判では、原告が騒音測定器で調べたところ、50~65db程度の音が多く、(このマンションのLHは60程度)受忍限度を超えている、更に被告の態度や対応について誠意が見られないと30万円と別途弁護士費用6万円の損害賠償請求が認められました。

北九州のマンションは、LH50と謳われているものが多くありますが、設計計算上は50であっても実際は55くらいです。って書面を提出する設計士もあるくらいです。

実際には、55か、もしくは60程度なのかもしれません。

特に上階の方は、誠意ある対応に心がけることが必要です。

騒音測定したら、すぐに55dbなんて超えちゃいますよ。