マンション管理士の独り言・・・127

「新築マンション購入法・・・その6修繕積立金」

世の中には安ければいいものと、そうでないものとがあります。
そうでないものの筆頭がマンションの場合は、修繕積立金です。
マンション購入時に、修繕積立基金を多いところで修繕積立金の100カ月分、少ないところでも60カ月分が必要となってきます。
この基金はマンション売主に入るのではなく、大規模修繕時のために管理組合として積み立てておくものです。
また、毎月負担しなければならない修繕積立金も、大規模修繕工事のために積み立てられるものですから、少なければいいというものではありません。
この積立金制度は、おおよそ8年くらい前に当時の住宅金融公庫が、

公庫の融資を受けようとするマンションならば、1住戸あたり10年間で平均72万円貯めるような計画と額になっていなければならないと指針を出しました。
そこで多くの売主は、72万円のうち20万円くらいを分譲当初に修繕積立基金として預かり、残り52万円を毎月の修繕積立金として積み立てようという計画と額を算出しました。
現在では、融資の際にこのような修繕積立金に関しての条件はありませんが、それ以降、修繕積立基金制度は多くの売主で取り入れられています。
なぜこのような制度を公庫は取り入れたかについては、国土交通省の意向が大きく働いています。
マンションではおおよそ10年~15年に1度大規模修繕工事が実施されます。
主に屋上防水と外壁補修です。
この際に管理組合総会で承認を得なければなりません。
承認を得やすくするためには、積み立てられている修繕積立金だけでまかなえるようにしておく必要があります。
1住戸当たり○十万円などの1時金が発生すると反対者が多くなる可能性が高まり、その結果、総会で否決(承認されず)され、大規模修繕工事が実施できず、スラム化していくマンションが増えることを危惧してのことです。
また、決議要件についてもざっくりと言えば、4分の3以上の賛成が必要だったものを過半数の賛成で良いというように改正し、大規模修繕工事実施できるようにハードルを下げています。
以上のような考えがあるにかかわらず、修繕積立金を適正額に設定していない売主のなんと多い事。
売らんがために明らかに修繕積立金を低く設定している事に対しては、国会でも議論になりました。このくだりは、次回で・・・。