マンション管理士の独り言・・・1281

マンション管理士の独り言・・・1281

「年度」

マンション管理組合にも単位年度と言うのがあります。

この「年度」というのは暦年と異なり、所定の目的に合わせて定められた1年間の区切りです。日本では4月~翌年3月ですが、アメリカでは国の年度開始は10月、学校は9月、企業は1月となっています。

お隣の韓国では、国と企業は1月開始ですが学校は3月開始。

この様に、「年度」はそれぞれ国によって異なります。

日本で初めて年度が使われたのは1869年(明治2年)からです。

それまでは10月~翌年9月まででした。その後、1月~12月。更に7月~翌年6月の変更を経て1886年(明治19年)に現在の4月~翌年3月となりました。

4月~翌年3月になった、について有力な説が2つあります。

一つは江戸時代までは税金は米で支払えばよかったものが明治になり現金での納税となりました。このため産業の中心であった農業・米作では米を換金しなければならなくなり、その時間が必要なので4月開始になったという説です。

もう一つは、1884年(明治17年)の富国強兵策により軍事費が激増してしまったので当時の大蔵卿の松方正義が任期中の赤字を解消するために次年度の予算の一部を当年度に組込みました。

その結果、次年度の予算が不足することになったので、明治19年の会計スタートを7月から4月に法改正しました。

1886年度を7月から翌年3月までとすることで12か月を9か月に短縮し辻褄を合わせたという説です。

マンション管理組合の場合、単位年度はそのマンションによって異なります。

理由はたった一つのシンプルなものです。管理会社さんが総会をばらけさせようとしているというものです。

どの管理組合も4月~翌年3月末までならば総会が5月や6月に集中しちゃいます。

これを避けるために年度を分散させているのです。

また、理事長さんは組合員に対し年に1度はその事務の報告をしなければなりません。

理事長さんは法律上組合員から委任されているということになり、民法第645条では、「受任者は委任者の請求あった時はいつでも委任された事務の報告を行わなければならない」とされています。

民法のこの規定を受けて、区分所有法第43条では、「管理者(=理事長)は集会において年に1度一定の時期に事務の報告をしなければならない」とされています。

その報告をいつするのかについても単位年度が重要になってきます。

更に管理会社さんとの管理委託契約の中では、「乙(=管理会社)は、甲(=管理組合)の年度終了後〇月以内に当該年度の事務の処理状況や会計の収支を書面に記し、管理業務主任をして報告させなければならない」とあります。

総会シーズンです。議案作成などで多忙な日々が続くことになります。