マンション管理士の独り言・・・1284

マンション管理士の独り言・・・1284

「机上の空論・・・こんなの出来っこない」

5年に一度のペースで標準管理規約の見直しが行われます。

標準管理規約は、法律ではないのですが、新築時には多くの売主さんがこれに「右に倣え」しますし、管理組合さんが管理規約を改正する際には参考にするものです。

何たって国交省作成と言うのが幅を効かせます。

標準管理規約のベースとなるのが、「建物の区分所有に関する法律」(縮めて区分所有法)です。この条文中の任意規定(規約や総会の決議で変えてもいいよ)について時代の趨勢に合わせて変えられています。

一方、強行規定と言われる”この規定から変えてはいけないよ”とされている条文については触られていません。

変えるには、ベースとなる区分所有法を先んじて改正しなければならないからです。

標準管理規約の見直しにはマンション管理士も加わっているのですが、”実務的にこりゃあ、無理だ”或いは”出来ないことはないけど大変だから誰もやらないよ”って感じられるものも沢山あります。

また反対に”区分所有法の強行規定だから触れないのは分かっているけど法律を改正してでもやらなきゃ”、”これじゃ絵に描いた餅”状態だよ”って規定もあります。

このマンション管理士さんは実務経験があるのかしら、です。

具体的には、第17条の(専有部分の修繕など)です。

標準管理規約では、専有部分のリフォームを行おうとする場合、①理事長に、設計図書と工程表などその工事内容が分かるものを添えて工事申請。⇒ ②理事長は理事会を開催しその工事を承認していいかどうかを検討。⇒ ③ 承認されて初めて工事が着工。という流れになります。

当然ですが理事会で承認されなければ工事にはかかれません。

いくら専有部分のリフォーム工事と言ったって、共用部分である廊下・階段・エントランスやエレベーターだって使うこともありますから、管理組合が全く感知しないという訳にはいきません。

特に床材のリフォーム工事の場合には、基準以上のL値の床材となっているかどうかを確認することも必要になってきます。

管理組合の関与~承認が必要なのはわかりますが、専有部分のリフォーム工事の申請あるたびに理事会なんて開けません。理事さん大変です。しかし、開かなければ工事申請者から矢のような催促です。急ぎ開催してとしても、その工事を承認していいのかどうか、”素人じゃわかんないよ”ってことも多々あります。

反対にいつ理事会が開催されるか分からなければ、リフォーム工事を請け負う業者さんはスケジュールが立ちません。最悪、リフォーム工事が不承認になる場合だってあるかもです。

こんな状態では、請負契約を締結しても部材発注できませんし、職人さんの手配だって遅れがちになります。

ここは、「理事長は、理事会の承認に代わり1級建築士・マンション管理士・マンションリフォームマネージャーなど専門家の承諾あれば、当該工事を承認できる」とすることがベストです。現にそのようにしている管理組合さんは増えてきています。

理事会さんの負担も軽減できるし、工事申請者も規約や細則に沿ったリフォーム工事ができるし、リフォーム業者さんもスケジュールが立つし、と「3方吉」の良いことずくめです。

つぶやき主にご依頼あればつぶやき主も潤うし、と4方でした。

次回はまだまだ続く「こんなの出来っこない その2」です。