マンション管理士の独り言・・・1292

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「道路との段差解消」

「市政だより」今回号に「敷地や駐車場と道路に段差がある場合には、申し出あれば”自費にて”段差解消工事できます」との記事が掲載されていました。

”自費にて”というところがミソです。

通常こういう場合は、個人で量販店や通販でジョイステップなどを購入、設置するということが行われます。

しかしこの行為は厳密にいうと違法です。勝手に道路や側溝に手を加えて形状変更してはいけません。

もしジョイステップなどで足をつまずいてしまい怪我でもあった際には、道路管理者である市などに責任はなく、勝手に設置した個人が責任を負わなければならない、となります。

そうは言っても”道路と敷地や駐車場とに段差があり、通行の妨げになり生活し辛い”って声にも耳を傾けなければならないので、苦肉の策として「申し出あれば”自費にて”段差解消工事が行えますよ」って事になっているのです。

しかし、通販で買えば90㎝で1500円程度で済むものが、段差解消工事ならば安く見積もっても10倍以上のお金がかかりそうです。

それを市へ申請してまで行おうとする人がいるのか疑問です。

管理組合でもよく議論になるところです。

特に車椅子やベビーカーを利用しなければならない方にとっては、ほんの5㎝の段差でも通行の妨げになります。

”道路との段差を解消してほしい”という組合員さんからの要望で”ジョイステップを設置してはどうか。”というごもっともな意見が出されます。

しかし、つぶやき主としては、”そうしましょう”とは言えずに”法律的には無理です。管理組合として設置するのはお勧めできません”と杓子定規な言い方にならざるを得ません。

すると翌日、理事長から”管理組合主体で設置できないと硬い事いうから、ポケットマネーで購入して設置したよ”って連絡が入り、思わず、”有難うございました”って変な反応になります。

小倉北区の管理組合さんです。理事長から”竣工当初から設置されていた側溝の蓋(コンクリート製、1枚30キロくらいありそう)が破損し、車がパンクする恐れがある。交換するように市へ要請して”ってご依頼です。

コミュニティ整備課へ連絡し、”現場を見ましょう”となり後日立ち会いました。

その側溝蓋を見るなり、”この蓋は市のものではありません、管理組合さんの物で、勝手に設置していると思われます。撤去してくれとまでは言いませんが、交換は出来ません”ってお返事です。

管理組合で設置したものでもなく、竣工時に道路との段差解消のために、施工会社が勝手に設置したものと想像されます。

市の物でなく、管理組合の物であることには間違いなく、取り替えるならば管理組合の負担と責任で行わなくてはなりません。

ジョイステップなら簡単に済みますが、それじゃマズいし、だからと言って管理組合で申請までして、高いお金を出して段差解消工事を行うのか、その費用の支出が総会で承認されるのかって、頭の痛いところです。