マンション管理士の独り言・・・1295

マンション管理士の独り言・・・1295

「駐車区画の引継ぎ」

前回に続き専有部分の譲渡・貸与に伴って駐車区画の引継ぎが出来るかどうかについての考察です。

国交省は、専有部分を譲渡した時は、「譲渡人は共有関係から離脱することになるから、それまで使用していた駐車区画は管理組合へ返却してね」と言う見解です。

これに対して貸与の場合は、「共有関係はまだ維持したままだし、仮に何年か後に帰ってきたときに、それまで使用していた駐車区画が使用できないのは不便でしょう。賃借人へ引継ぎできるよ」ってしています。

しかしご当地では、①専有部分の譲渡貸与の時でも、次の譲受人・賃借人へ引継ぎできる、②譲渡の場合は管理組合へ返却、貸与の場合は引継ぎできる、③譲渡貸与に関わらず、引継ぎできない、って3つのパターンに分かれます。

以前はそれぞれ3分の1くらいのシェアでしたが、最近では①のパターンが増えています。何より管理会社さんが楽チンです。更に駐車区画が決まっていた方が売買・賃貸が決まりやすい、ってニーズも少なからずあります。

また、その住戸が売れるまで、貸せるまでは以前の使用者が継続して使用料を支払っていないと次の方へ引継ぎできない、ってことも加味される場合がほとんどです。

①②③のパターンのどれかはマンション購入時の管理規約で決まっています。

これを後で変更しようとしても、利害関係が複雑にこんがらがっていますからまず不可能です。マンション購入時によく読んで理解しておくことが必要です。

②や③のパターンの場合で「管理組合に一旦返却してその後、管理組合にて公平な方法で決定」とされている規約を目にすることがありますが、具体的は公平な方法については決められていない場合がほとんどです。

先着順なのか?抽選なのか?さえ決まっていません。

より公平なのは、抽選となりますが、その住戸を購入した新たに区分所有者になった人は抽選に参加できるのか?まだ住戸が売れていなくて新しい区分所有者が決まってないときは、仲介業者が代わりに抽選に参加できるのか?など細々としたことも考慮しなくてはなりません。

また抽選の結果、Aさんが当選したとして新しい区分所有者にはAさんがそれまで使っていた区画が割り当てられるのか?

「抽選には外れたけれど、今自分が利用している区画よりも当選したAさんが使用していた区画の方に移りたい。その区画でも抽選を行ってほしい」という意見が出た場合に、希望者がなくなるまで延々と抽選を続けるのか?など様々なケースが想定されます。

この他、1台目希望者と2台目希望者とで順位に差をつけるのは一般的ですが、1台目希望者であっても使用者が区分所有者と賃借人とで差をつけるマンションもあります。

1台目を使用していない区分所有者が1台目を希望した際に、2区画を使用している区分所有者から1区画を返却してもらうことになりますが、その場合どの区画を選ぶのかにも注意が必要です。

一番多く見られるパターンが、利用期間が長い区画から返却してもらう、というものです。利用期間が同じならば、1台目希望者がその中から選ぶ、としているところもありますが、選ばれた区画使用者との間でトラブルにならないよう、ジャンケンで負けた人が区画を返却するってマンションが多いようです。

上記についてはキチンと決めておかなければなりません。理事会にこのような重い判断をさせてはいけません。総会での承認が必要です。

1回でも理事会の判断で決めちゃうと、それが前例になって次からは「何で前は良くって、今度はダメなの?」ってトラブルが生じます。

駐車区画の決定方法は、よほど慎重に行わないと大きなトラブルに発展します。