マンション管理士の独り言・・・1297

マンション管理士の独り言・・・1297

「民法の原則を見直ししなきゃいけない・・・①」

我国は憲法を始めとする多くの法律で司られている法治国家です。

その中で私達庶民の暮らしと関係の深い法律が民法です。

マンション法って言われる「建物の区分所有に関する法律」(略称:区分所有法)だって民法の”共有”から派生しています。

民法には大きく4つの原則があります。①権利平等 ②所有権絶対 ③私的自治(契約自由)④過失責任 です。

この中でも1番お世話になっている、或いは生活に密接に関係しているのが私的自治の原則だと思われます。

簡単に言うと、「当事者双方が自由な意思で行った約束事(契約行為)は法律の規定と異なっていても有効だ」というものです。

ただし、“公序良俗に反しない限り”という縛りがあります。公の秩序、善良の風俗を略して公序良俗といいます。

これに反する行為は、賭博行為や高利貸しなどで「無効」とされます。

「無効」と「取り消し」とは法律上大きく異なります。

「無効」とは“契約が初めからなかった”とするもので、「取り消し」は“取り消すまでは有効”とされます。

民法が改正となり成人年齢が20歳⇒18歳に引き下げられました。

今までも20歳未満の未成年者が行った法律行為は、「無効」ではなく「取り消しうる」ものでした。その年齢が18歳に引き下げられたってことです。

最近では、阿武町の誤送金事件に関連し、町側の弁護士が田口容疑者が利用した決済代行業者に対し、“田口容疑者との間の委任契約は公序良俗に反し無効だ”と主張し、返金に応じさせた例があります。

私的自治の原則は、マンションの売買契約書にも大きく取り入れられています。

契約事務手数料とか引き渡し事務手数料と称して10万円くらいを請求する売主さんもありますが、この手数料を徴収できると定められた法律なんて存在しません。

そのように記載されたものを売主・買主の双方が合意したってことから請求できる、ってなっています。

また、マンション竣工時にまだ売れていない住戸に関しての管理費・修繕積立金の負担についても、売買契約書などに「竣工時に未販売住戸あっても売主はそれを負担しない」って記載されていれば有効となっちゃいます。

流石に最近では「初年度に限り購入者より入金された管理費で不足するときは、実際の管理に要する費用に限りその不足分を売主が負担する。ただし修繕積立金は負担しない」ってしている売主さんはが多くなっています。

知識経験などたっぷり持っている百戦錬磨の売主さんと初めてマンション購入する不動産売買に関してのズブの素人さんとが対等な立場に立って締結するのがマンション売買契約です。

さらに売買契約書も売主さんが予め用意したものであり、納得できない条文があったとしてもそれを削除・もしくは訂正なんてできません。

”この売買契約書で気に入らないなら、買わなくていいよ”って成らざるを得ません。

どこかのコメンテーターが、”民法などの法律が想定している消費者の法的知識レベルと実際の消費者の法的知識レベルとの乖離が激しい”と言っていました。

その挙句の「契約行為は自己責任」じゃ一般の消費者には荷が重すぎます。