マンション管理士の独り言・・・1300

マンション管理士の独り言・・・1300

「形成権」

旦過市場復興の足がかりとなるのかガレキ撤去が開始されるようです。

関係者に聞いたところによると、総会を開催し、ガレキ撤去請負業者を決定するようです。これだけ見ると民主的なようですが、土地+建物の所有者であり更に店舗営業している人とただ単に店舗営業している賃借人であっても同じ1票の議決権が付与されているようで、前者からクレームがつかないのか不安視しています。

まだガレキ撤去という段階ですから、そんなに意見の衝突はないものと考えられますが、復興の話が進んでくるにしたがって意見の相違が出始め、内部分裂するのではないかと懸念しています。

つぶやき主も管理組合有志の方が売主さんに対して、ダーティーな販売方法で管理組合が損害を被ったとして訴訟を視野に入れて話を進めたことが何度かあります。

始めは全員のベクトルが同じ方向を向いていたのですが、話が煮詰まってくると、方向性の違いや負担割合などで一人抜け、二人抜け、となり内部分裂してしまうことが度々ありました。当初は10数人いた有志の会が最終的に訴訟に参加したのは3名とまり、ってこともありました。

この状況を打破するのは形成権です。

区分所有法第61条7項前段、第63条4項に規定されています。

例を上げれば、通常売買契約の場合は、売主、買主双方の合意で成立するのが原則です。

「このマンションを〇〇〇〇円で売るよ。」「OK。その金額で買うよ」って感じです。

ところが形成権と言うのは、売主若しくは買主の一方が相手方に対して「購入するっ」あるいは「売り渡すよ」って言った時点で契約行為が成立するとされるものです。

相手方の同意は必要ありません。

区分所有法第61条では、建物の半分以上が滅失し、それを大規模に復旧する際の規定を記していますが、この議案が総会で成立要件するためには議決権総数の4分の3以上の賛成が必要です。

そしてその議案に対し承認しなかった4分の1の組合員は、承認した組合員に対して、建物や敷地に関する権利を「時価で買い取れ」と請求することが出来るとされています。

買い取れと言った時点で売買契約成立です。

63条4項は建て替えの場合の建替え議案を承認しなかった少数反対者(建替えの場合は5分の1)に対し、承認者が承認しなかった人の建物や敷地に関する権利を「時価で売り渡せ」と請求できると規定されています。売り渡せと言った時点で売買契約成立です。

売買当事者の一方が相手方の意見を聞かずに意思表示した時点で売買契約成立とはずいぶん乱暴なように見えます。

しかしこの法の主旨は、大規模補修では4分の3、建て替え決議では5分の4という大多数のものが賛成しているのに、ホンの少数者の反対意思で、それが実現できないのは民主的ではない、大多数の意見を具現化するべきとの考えに基づいています。

もっとも東京のマンションでは建て替え決議の反対者が、「売り渡し請求権」は憲法違反だとして訴訟が提起されていますが・・・。

旦過市場に規約のようなものがあり、そこに形成権が規定されていれば、多数意見者の意向が実現できる可能性がありますが、・・・・。

少数派の意見で振り回されるのでは、と懸念しています。

考えれば考えるほど、難しい