マンション管理士の独り言・・・1301
「鉄筋コンクリート」
分譲マンションには、多くの人が住んでいて、不特定多数の人の出入りがあるので火事になった時に大惨事にならないように火に強い建物でなければなりません。
建築基準法の耐火構造物です。
ですから多くのマンションは鉄筋コンクリート(RC造)、または鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)です。
都心では三井ホームが木造の耐火構造物を建築したそうですが、ご当地ではRC造と相場決まっています。
RCとは、REINFORCED COMCRETEの略称で文字通り雨に対して力を持つ造りです。
鉄筋コンクリートとは鉄筋とコンクリートとで構成されています。
物の強さを表す指標には2つしかないと言われています。
押さえつけられた力に対してどれだけ強度を持つか(耐えられるか)と言う圧縮強度と、引っ張られる力にどれだけ強度を持つかと言う引っ張り強度です。
鉄筋は、両端から力を加えるとグニャっと曲がることからも圧縮強度はそれほどありません。しかし両端を持って引き千切ろうとしても簡単には引き千切ることは出来ません。
鉄筋は圧縮強度はそれ程でもないけれど、引っ張り強度は優れているのです。
一方コンクリートの方は、上から押さえて付けても簡単には破断しません。
しかし両端を持って引き千切ろうとすると割と簡単に砕けてしまいます。
コンクリートは、鉄筋とは逆に圧縮強度には優れているが引っ張り強度はそれほどでもないのです。
このようにお互いの短所を相手の長所で補っているのが鉄筋コンクリートという工法なのです。
鉄筋は水に浸かり、空気に触れると酸化して錆びてしまいます。
錆びると体積が2,4倍以上に膨らみ、その結果鉄筋を被覆しているコンクリートを弾き飛ばしてしまいます。コンクリート爆裂現象です。
この爆裂現象を防ぐためにコンクリートで被覆するのですが、柱では鉄筋から6㎝以上、壁ならば4センチ以上と“被り厚”が定められています。
また、コンクリートはPH12~13という高アルカリ性を持っています。
中性がPH7くらいですからとても高いアルカリ質です。
この高いアルカリ質を有するコンクリートで鉄筋を被覆することで、錆の原因となる鉄筋の酸化を防ごうともしているのです。
施工当初は高アルカリ質だったコンクリートも酸性雨や排気ガスなどにさらされると段々アルカリ質が弱まってきます。
これがコンクリートの中性化と呼ばれるもので、中性化してもコンクリートの強度は落ちることはありませんが、その中に被覆されている鉄筋が錆びやすくなり、このことは建物躯体の劣化を早めることになります。
海に近いマンションではコンクリートの中性化が進行しやすくなります。それなりの対処が必要ですが、これについてはまた今度