マンション管理士の独り言・・・1302
「水:セメント比」
前回は、引っ張り強度は◎だが、圧縮強度は△の鉄筋と、引っ張り強度は△だが圧縮強度は◎のコンクリート。
お互いの短所を相手方の長所で補っているのが鉄筋コンクリート造(RC造)。
さらに、鉄筋が錆びること(酸化させない)を防ぐために高アルカリ質のコンクリートで十分な「かぶり厚」で被覆しているということをつぶやきました。
今回はコンクリートについてもう少し掘り下げてつぶやきます。
水+セメントでセメントペーストが作られます。
セメントペーストを作る際の水とセメントとの比率を水:セメント比と言います。
仮にセメントペースト100作るのに、水が20でセメントが80ならば水:セメント比は20%となります。
反対に、水が80でセメントが20ならば水:セメント比は80%となります。
同じセメントペーストながら、水:セメント比が20%と80%ならば20%の方が強固なのは当たり前です。
強固と言う表現が適切かどうかはわかりませんが、成分のうち水が80%も占めていれば水だらけのジャブコンです。セメント濃度が薄すぎます。
水が20%の方がコンクリートとして優れている、強固なのは当たり前です。
また、鉄筋の防錆効果からもセメント比率が多い方が、それだけ高アルカリ質を確保できます。
北九州の場合、ほとんどの売主さんの物件(新築マンション)は55%です。水が55%を占めているってことです。
一般的に言えば市内では、この水:セメント比で十分ですが、しかし例外があります。
海沿いに建築する場合です。
例えば門司駅裏に8年ほど前に建築されたベイトリア門司マリーズでは、水:セメント比は45%でした。
通常の水:セメント比55%に対して10%以上もセメント成分が多くなっています。
海に近いため、塩害対策を講じているのです。
10%以上もセメント比が高い=その分セメント濃度の高いコンクリートになっている=より高いアルカリ質を確保できる=鉄筋を酸化(錆)から守るための防錆力アップになっています。
水:セメント比が低ければ低いほどいいのか(つまりはセメント比率が高くなる=セメント濃度が濃くなる)というとデメリットもないわけではありません。
ワーカビリティといって作業効率が悪くなるのです。セメント濃度の濃いコンクリートは、薄いコンクリートに比べ仕事がしにくくなるのです。
水成分が多ければ多いほど流動性が増し型枠に流し込むコンクリートの処理がしやすくなります。職人さんは大変です。
また、セメント成分が多いのでその分コストアップになります。
海沿いのマンションが増えています。玄関ドアなど目に付く箇所は塩害処理、防錆処理が手厚く施されているのでしょうが、躯体のセメント量は適切なのか、ちょっぴり心配しています。
余計なお世話だ!という耳鳴りが・・・。