マンション管理士の独り言・・・1316

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「保険中途更改」

本年10月から管理組合が付保しているマンション共用部保険の保険料が値上がりしそうです。「しそうです」ではなく「します」「決定しています」でした。

毎年といっていいくらい値上がりしていますが、本年10月のは大幅です。

三井住友さんに聞いた話では、管理組合から共用部保険として得られる保険料と、支払われる保険金とは逆転現象になっていて、支払保険金の方が得られる保険料の1,3倍くらいになっているそうです。

“入り”より“出”の方が大きいのですから商売としては成り立ちませんが、保険会社というのは社会インフラの下支えという側面がありますので、止められないのだそうです。

しかし築20年超で今まで保険付保していなかった「新規」マンションは丁重にお断りしているようです。

特に漏水原因調査特約の支出が多いようです。

因みに三井住友保険さんは漏水原因調査特約は1事故100万円までで、年間何件でもOKです。

東京海上さんはじめそれ以外のほとんどの保険会社さんは1年間で100万円がリミットです。

その分三井住友さんは保険料が割高になってしまいますが、個人的にはその価値はあると思っています。

10月からどれくらい値上がりするのかというと、

【40戸のマンション・築25年】で令和1年9月~令和6年9月まで(5年間掛け捨て)で220万円くらいだったものが、10月以降は全く同じ条件で430万円にアップしちゃいます。

これを9月までに現在の保険を解約して、料率値上がり前に更新しようとする場合(=中途更改)375万円で済みます。

10月より1か月前倒し更新することで50万円以上の節約になります。

しかもこれまでの保険を解約するのですから残余期間の清算が行われ、解約金が戻ってきます。

解約と言いながらも実態は更改なので解約金にはペナルティは付けられず残余期間分の保険料がほぼ100%返ってきます。

良いことずくめのようですが悩ましい問題が発生します。

残余期間というのは数年前の安い保険料率が適用されていますので、今から比べればかなり安い保険料となっています。

この残余期間がまだ満期まで2年も残っていたら、みすみすその安い料率での保険契約を放棄してしまうということになります。

2年後の保険料率がわかっていたら、計算できるのでしょうが、上がるとは想像できてもそれが具体的にいくらになるのかまでは見当つきません。

中途更改の悩ましいところです。

理事会でも頭を悩ませますが、大体残余期間が2年以上の場合は現在の保険契約を満期まで引っ張る、残余期間が2年未満の時は9月までに中途更改というパターンに落ち着いてきているようです。