マンション管理士の独り言・・・1319
「大雨注意」
ここ数年、短時間に降る雨の量がハンパありません。
空の底が抜けたかのような土砂降りの雨です。“1か月に降る雨の量をこの3日間で超えてしまいました”なんていうアナウンスをよく耳にします。
市内の雨水排水計画は1時間当たり50mmを想定していますので、それを超しちゃうとマンホールの蓋が持ち上げられちゃう、なんて現象になってしまいます。
市内マンションでも、大雨になるとエントランスが浸水しちゃうなんてところがあります。
大雨時には、役員さんが総出で倉庫にしまっておいた土嚢を積み上げて浸水を防ぐなんて管理組合さんもあります。
新規役員さんに「大雨時の土嚢積み」の引継ぎが必須となっています。
でも、これは防げます。防ぐ方法は必ずあります。
つぶやき主はこれまで、3件のマンションで、この大雨時の土嚢積み作業から役員さんを解放してあげました。
下り坂の途中にエントランスがあるので、どうしても雨水が流入しやすくなっています。
それなのに側溝蓋で塞がれており雨水が側溝へ流れ込めなくなっています。
そこで側溝蓋の数か所をグレーチングへ変更し、雨水が側溝へ容易に流入できるように改良しました。効果絶大です。敷地内に水が入り込まないようになりました。
工事費用に関しても道路管理課と打ち合わせ、管理組合さんの負担なしに解決できました。
この辺りは、役所担当課との交渉能力かな、と自画自賛です。
そもそも設計段階でこのような設備としていればエントランスへの浸水は防げていました。
それが甘い流量計算だったので、浸水~役員さん総出で土嚢積みを4年間となっていました。今では“大雨時でも、安心して寝られる”って役員さんに感謝されています。
もう1件は、外階段に雨水竪管がなく上階からの雨水がすべて1階へ流れてくる仕様となっていました。
大雨には、階段室から滝のようなすごい量の雨水がエントランスやエレベーターピットへ流れ込んでいました。
竣工図書を確認すると、アレっ!雨水竪管が設置されています。
このことを売主さんや施工ゼネコンさんへ問いただすと、「竣工図書が誤りで、現状が正、雨水竪管は無くていいのです。」と信じられないような返答でした。
勿論そんな詭弁を黙って通すはずがありません。
交渉には結構長いこと時間がかかりましたが、全て売主さんの負担で改良工事を行ってもらう事ができました。
水は高いところから低いところへ流れます。
勾配がきちんと確保され、一番低いところに流量計算された側溝や雨水桝が設置できていればエントランスや建屋に雨水が浸水するなんてことはありません。
もう少し大きなドレン、もっと大きく深い雨水桝ならば浸水は防げたのに、と思われる物件をよく目にします。
以前ならばその雨水桝の径・深さで良かったのでしょうが最近の大雨に備えるにはもっと流量をさばける設備としなければならないようです。