マンション管理士の独り言・・・1322

マンション管理士の独り言・・・1322

「駐車区画の引継ぎ」

専有部分の譲渡・貸与の場合に、次の譲受人・賃借人にそれまでの住戸所有者が利用していた駐車区画が引き継げるかどうかはマンションごとに違いますが、とても厄介な問題です。

標準管理規約第15条3項には、「~専有部分を~第3者に譲渡・貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う」とあります。

同条コメント①では、住戸の戸数分だけ駐車区画がない場合を想定しているってあります。

更にコメント⑦で平置きや機械式などが混在する場合には“定期的な入れ替え制”もアリって提案しています。

北九州では駐車区画数が全住戸分ないなんてあり得ませんから、本条をそのまま準用するわけにはいきません。

また、北九州では「1住戸に1区画が優先される」ってしている組合さんが多いという特徴もあります。

定期的入れ替え制に関しては、パッと見には公平なように映ります。

しかし実際に、機械式・平面・平面屋根付きなどが混在しているマンションで定期的にシャッフルしているマンションでは、“今乗っているワンボックスカーは機械式には入らない”なんて弊害が出てきているのが現状です。

定期的入れ替え制が上手く機能しているのは、すべての区画が平置きなど、区画に差がない場合に限られるのが現状です。

それにしてもわからないのが、15条3項の、「駐車場使用契約は効力を失う」っていう部分です。

住戸を売ってしまい、もうそのマンションの組合員ではなくなったのだから、駐車場契約も当然に失効します。

そのマンションの駐車場使用契約にも、契約できる相手方は「このマンションの区分所有者、もしくは占有者」に限定されています。

わざわざ“使用契約は効力を失う”なんて記さなくていいのに。くどい!

ここは、「駐車場使用契約は失効する」ではなくて「駐車区画を使用する権利がなくなる」とすべきです。

“あなたは専有部分を譲渡したのだから、もうあなたには駐車場を使用する権利はありませんよ。従ってあなたから専有部分を買った人にはそれまであなたが利用していた駐車区画は引継ぎできませんよ”とすべきです。

専有部分貸与の場合は、“あなたはまだ組合員だから駐車場を使用する権利は残っていますよ。だから賃借人には、当該駐車区画を引継ぎできますよ”です。

実務的にも、売買の場合には仲介業者さんから管理会社さんあてに“駐車区画は引継ぎできますか?”って質問があります。必ずあります。

これに対し賃貸の場合には、駐車区画を引継ぎできるか出来ないか?を尋ねて来ない場合の方が圧倒的に多いです。

管理会社さんが知らないうちに、賃借人が居住していた、ってケースも散見されます。

専有部分の譲渡の場合は、それまでの区分所有者が利用していた駐車区画は譲受人には引き継げず、一旦管理組合に返却し、その後抽選などの公平な方法で利用者を決定する。ただし1住戸1区画優先原則の確保。

専有部分の貸与の場合は、賃借人は当該区画を引き継げる、とするのが今のところ1番いい方法かな、って気がしています。