マンション管理士の独り言・・・1325

マンション管理士の独り言・・・1325

「住宅性能表示制度」

最近分譲されたマンションには、すべて設計住宅性能保証と建設住宅性能保証が付けられています。

これは、住宅の性能や品質を「見える化」して消費者が客観的に判断できるようにとの主旨で策定された制度です。

2000年9月に施行された「住宅の品質確保に関する法律」(略称:品確法)がその根拠法です。

必須4項目は、①構造の安定 ②劣化の軽減 ③維持管理・更新への配慮 ④温熱環境です。以前は、必須項目は9つだったのですが、2015年の法改正により上記4項目に減らされちゃいました。

それぞれに①~③、或いは①~④までの等級があります。等級は数字の多い方が優良です。例えば耐震性能に関して、耐震等級1は、建築基準法の耐震性能を満たすレベルですが、耐震等級2になると、等級1の1,25倍。さらに耐震等級3になると、等級1の1,5倍の耐震性能が要求されています。

この等級に比例して、地震保険の保険料優遇率も異なっています。

必須4項目以外にも、⑤火災時の安全 ⑥空気環境 ⑦光・視環境 ⑧音環境 ⑨高齢者への配慮 ⑩防犯 というものがあります。

これらもやはり数字の大きい等級が優れています。

これら項目を申請する際には、申請検査料金が必要なため、どのマンションでもすべての項目について申請がなされているわけではありません。

ここで注意しなければならないのは、等級1です。どの項目においても等級1の基準は、「建築基準法レベル」とされています。

そして残念ながら建築基準法レベルというのは、最低限のレベルです。

建築基準法は同法第一条に謳われている通り最低の基準を定めている技術法令です。

何故最低の基準を示しているのかについては、「建築基準法というものは自由に建築を行う私人の権利を公権力によって制限し、または規制して社会の秩序を保とうとする性格を持つ法律なので、その制限については憲法13条に基づき、必要最小限のものでなきゃならない」という理念からです。

また、日本建築学会では会員へ向けての指針で「建築基準法の名称の示すように、あくまでも基準である。従って建築主、設計者、施行者にとっては、この基準が確保されることは勿論、可能の範囲において基準以上に建築物の質の向上が図られることが望ましい」としています。

設計住宅性能保証や建設住宅性能保証を取得しているからと言って、項目の等級が1ならば、最低の基準だということとなります。

その建物の性能にあまり過度な期待を寄せてはいけないってことです。