マンション管理士の独り言・・・1331

マンション管理士の独り言・・・1331

「バルコニー水栓」

最近分譲のマンションでは、バルコニーに給水栓があり、SK(スロップシンク)まで設備されているものもあります。一昔前まではバルコニーには給水栓を設置しない売主さんがほとんどでした。

あれば便利なのはわかっていますが、水を流しながらデッキブラシでゴシゴシとやられちゃうと階下への漏水が生じる恐れがあります。

また、最近ではバルコニー床に防滑シートを貼るのが標準になっていますが、以前はコンクリートの上に防水モルタルっていうのが標準的仕様でした。

防滑シートならば床に染みこまず手摺際の排水溝まで使用した水が流れていきますが、防水モルタル仕上げではこうはいきません。

しかし最近の防滑シート仕様でも、エアコンドレンレールの際を溶接仕上げしていないと水漏れをおこすケースが散見されます。

それでもバルコニー床は防水モルタル仕上げよりも防滑シート貼りの方が漏水に対しては強さがあります。

防水モルタル仕上げのバルコニー床補修工事を行っています。

床クラックにUカット工法やエポキシ樹脂を刷り込むなどの補修を行い防滑シートを貼りこみます。サッシュ面台や手摺際の排水溝にはウレタン塗膜防水です。

足場を組み全戸のバルコニー床を確認しました。

アッと驚くようなことに出くわします。

このマンションにはバルコニーには給水栓がないはずなのに約10%の住戸に給水栓があります。

1か所のみならず2か所のところもあります。

排水に関してはSKが設備されていたり、垂れ流しのところ、バルコニー手摺際の排水溝までホースを伸ばしているところがあるなど様々です。

給水栓もサッシュ下端を細工してバルコニーまで引っ張ってきている住戸もあれば、堂々と外壁をくりぬいている住戸もあります。

室内に配管は見受けられませんので、リビング床に配管しているものと思われます。

外壁を穿孔したり、リビング床材の下に配管するなんて入居後は出来っこありませんから、おそらく工事中に売主経由で施工ゼネコンさんが行ったものと思われます。

中には「中古で購入した。入居した時には給水栓があった。全ての住戸にあるものと思っていた」なんて人もいます。

最近分譲されたマンションの理事会での話です。バルコニーSKの排水トラップ部分が冬場凍結したって苦情です。役員さんで意見が分かれました。

「ウチは設置を依頼したので給水栓がある」「ウチはバルコニーに給水栓を設置してほしいと売主さんに頼んだが、ダメです、と断られた。」「ウチは設置してほしいなど何も依頼しなかったが初めから付いていた」もう何が何だか???です。

どうやら、一部の住戸タイプには給水栓が付いているようです。しかしパンフレットには記載がありません。

パンフレットや規約の専用使用部分にも記載がない設備に関して管理組合が維持保全を行わなきゃ、なんでしょうか。

キチンとした売り方をしたうえで、管理組合に引き渡し時には、「オプションで○○〇号室と○○〇号室にはこんな設備をつけたので管理組合さん維持管理よろしくね」って報告してくれなきゃ、です。