マンション管理士の独り言・・・1334

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「民法と宅建業法と品確法の瑕疵担保責任」

瑕疵担保責任は、2020年の民法改正で契約不適合責任と呼び方が変わりましたが、法定責任です。

民法では売買契約での契約不適合責任期間は、買主が瑕疵あることを知った時から1年間と定められています。

しかし引き渡し後10年経って初めて買主が瑕疵を発見し、売主に対しその責任を追及されるとなるとあまりに売主に酷なので、売主が不動産屋の場合には、宅地建物取引業法(略称:宅建業法)により引き渡し後2年間としても良いとなっています。

分譲マンションの売買契約を含め不動産の売買の場合は、「引き渡し後2年」とするのが一般的です。

ただし売主が不動産屋でない場合は、宅建業法の適用はありません。

売主が個人の場合は、“売主は瑕疵担保責任を負わない”とすることも適法です。

マンションはじめ新築住宅の場合に、売主が不動産業でない場合は考えられませんが、中古住宅の場合は、不動産屋さんは売主でなく仲介業者として介在しているのみで、売主は個人という場合はよくあるケースです。

このような場合に、“現状有姿。売主は瑕疵担保責任を負わない”とするケースはよく目にします。

瑕疵とは、それがあることで引き渡しを受けたものが本来の目的を果たせない(隠れたキズ)を指します。

例を挙げれば、“本を購入したが印刷が悪くて一部が読めなかった。”“100ページのはずが80ページしかなかった”などです。

改正前までの瑕疵担保責任では、買主は売主に対し「損賠賠償」「契約無効」を請求することができる、とされていましたが、改正後はこれに加えて「追完請求(足りない分の引き渡し」「代金の減額」請求が加えられました。

民法の契約不適合責任では、瑕疵の補修は含まれていないことに注意が必要です。

また契約不適合責任は無過失責任ですから、売主が売買の目的物の瑕疵について責任がない(無過失)であっても責任が負わされます。

売買の目的物がマンションなどの住宅の場合、「住宅の品質確保の促進などに関する法律」(略称:品確法)により“雨水の侵入を妨げる部分”と“建物の主要構造部”に関しては、瑕疵担保責任期間が民法の2年から10年間に大幅に延長されています。

この期間を短くすることは出来ません。

いつから10年かというと、マンションの場合では売主不動産屋さんが施工ゼネコンさんから引き渡しを受けた時から開始されます。

買主さんが売主不動屋さんから引き渡しを受けた時ではありません。

従って築後2年経過したマンションを売主不動産屋さんから購入した場合、品確法の適用を受けられるは残り8年ということになります。

また品確法が適用されるのは、新築物件に限られます。一旦売主不動産屋さんから個人に売却された築2年目のマンションを、その買主さんから中古で購入した人は、10年までにはまだ8年残っているからと言って品確法の適用はありません。

また、「品確法」では民法と異なり、「瑕疵の補修」請求も認められています。

これら法律の瑕疵担保期間とアフターサービスとの関連や違いについてはまた後日。