マンション管理士の独り言・・・1335

マンション管理士の独り言・・・1335

「アフターサービス」

瑕疵担保責任(契約不適合責任)とは、民法や宅建業法さらには品確法によって定められた売主の法定責任です。

売主には無過失責任が負わされていますので、その瑕疵について売主に何の落ち度がなくても責任を負わなければなりません。

買主は瑕疵が発見されたら、売主に対して損害賠償や契約解除、或いはその二つを合わせて請求できることとなります。

更に民法改正により、これらに加えて追完請求(不足分の引き渡し)、代金の減額請求も出来ることとなりました。

売主が責任を負わなければならない期間は、民法では買主が瑕疵を発見してから1年以内、宅建業法では引き渡し後2年以内、品確法では“雨水の侵入を妨げる部分”や“主要構造部”などについて10年以内となっています。

品確法で定められた箇所以外の部分に対しては、宅建業法の引き渡し後2年という契約内容になっているのが一般的です。

しかし売主が買主より指摘された瑕疵部分について“おっしゃる通り、瑕疵です”と簡単に認めることは少なく、そうなると裁判で争う以外に方法はありません。

その結果、迅速に瑕疵を補修することが出来ないということに成りかねません。

これは双方にとって望ましい状態ではありません。

これに対してアフターサービスは、売主さんが営業政策や顧客満足度向上のためのサービスとして自主的に瑕疵(不具合部分)の補修を無償で行うものです。

アフターサービス期間内ならばその不具合の原因が、明らかに買主の使い方が悪いとか、経年劣化、天災地変などである場合を除き、売主さんは迅速に補修を行うことが予想できます。

アフターサービスは各社によって異なっていいはずですが、どの売主のアフターサービスもその内容や期間は大差ありません。マンションの場合、設備によって異なる程度です。

法律上売主が責任を負わなければならない瑕疵担保責任と、自主的に顧客サービスの一環として行うアフターサービスとは明確に違いがあります。

売主さんはアフターサービスとして不具合個所の補修を行えば瑕疵担保責任を免除されるものではありません。

しかし法定責任としての瑕疵担保責任はその不具合個所が補修されれば、売主さんの責任はほとんど果たされたと考えられます。

別の視点から見れば、民法で与えられていない“補修請求”をアフターサービスで補完しているとも言えます。

売主、買主双方にとって合理的な解決方法です。

専有部分はその所有者の責任で維持管理しなければなりませんが、共用部分に関しては管理組合が主体的に維持管理を行います。

管理組合は、共用部分に対しての瑕疵担保責任期間やアフターサービス期間を把握しておくことが必要です。