マンション管理士の独り言・・・1338

マンション管理士の独り言・・・1338

「皆で集まって決める」

分譲マンションの生活のルールや合意形成のための方法などを規定しているのが管理規約です。管理規約は民法の共有というジャンルから派生してできた、「建物の区分所有などに関する法律」(略称:区分所有法)に基づいて出来ています。

この区分所有法の規定の中にも、任意規定と強行規定と2種類あります。

任意規定というのは、“規約や集会で区分所有法に規定されている条文と違ったものを定めてもいいよ”っていうものです。

強行規定は、“集会や規約でこの規定とは異なることを定めてもそれは無効だよ、変えちゃいけないよ”っていうものです。

強行規定の代表的なものとして管理規約の改正が挙げられます。

規約改正には議決権総数の4分の3以上の賛成が必要(特別決議)で、この数字を例えば5分の4と大きくしたり、反対に3分の2に小さくしたりの、どちらも無効とされています。

強行規定以外は、任意規定なので管理組合独自に規約や集会で区分所有法の規定とは異なる定めとすることが出来ます。区分所有法は、集会主義といわれる所以です。

通常の管理規約では「総会」と記載されますが、区分所有法では、「集会」となっています。意味は同じです。要するに皆で集まって決めようってことです。

大きな出費を伴なうものや、生活が制限されるようなものは皆で集まって(具体的には総会で議案化)区分所有者の承認を得ることをはじめとして、例えば100円ショップで清掃用具を買おうっていう小さなことまで皆で集まって決めるようにしよう、というのが、本来は法の主旨、原理原則です。

しかし何でもかんでも皆で集まって決めるとなると、“こんな小さなことまで、皆で集まって話し合って決めなきゃなんないの?”となってしまいます。

現実的でもなく、合理的ではありません。

このような場合には総会に提案する予算案に、予め小修繕費や予備費として計上し、そこから支出するというのが一般的です。

標準管理規約はじめ一般の管理規約には、管理費などの予算案が変更になる場合には、総会での承認が必要と規定されています。

しかし小修繕費や予備費の中で賄えて、管理費などの予算案が変更にならなければ総会で承認を得ることまでは行われていないのが管理の現場です。

更に、「1案件50万円まで、年間5案件までならば、総会承認を経ずに理事会の判断で実施できる」と理事会に機動性を持たせている管理組合もあります。

そもそも区分所有法は、現在のような上に伸びて大規模な住戸数を想定して作られたものではありません。時代劇に出てくるような横に伸びる長屋を想定して策定されたものです。小さな規模の長屋では、皆で集まることもそんなに難しいことではありません。

現代のように地上15階建て、150戸なんていう大規模マンションでは、そんなに頻繁に皆が集まれるわけがありません。

管理組合や理事会が柔軟に機動的に活動できるような工夫がひつようです。

寒くなってきましたが、なんとまだ水シャワーです。お湯を貯めたお風呂ではありません。

代謝が良くなった気がします。どこまで続けられるか、我ながら楽しみです。変態だそうです。