マンション管理士の独り言・・・1339

マンション管理士の独り言・・・1339

「区分所有法と標準管理規約と、それぞれの管理規約」

それぞれのマンションの管理規約は、「建物の区分所有などに関する法律」(略称:区分所有法)と、法律ではありませんがお国が、“規約を新たに作ったり改正する時に参考にしてね”として示している「標準管理規約」に準拠して策定されています。

「標準管理規約」は「区分所有法」に従って作られていますが、一部異なる規定もあります。

「区分所有法」で、“規約や集会で本規定と異なることを定めても良い”と定められている任意規定に関しては「標準管理規約」では独自の規定となっているものもあります。

また、それぞれのマンション管理規約では、任意規定に関し「標準管理規約」や「区分所有法」とも異なった規定となっているものもあります。

具体的な例として、総会開催の時期があげられます。

総会開催時期に関し、「区分所有法」ではそのマンションの年度終了後1か月以内に開催となっていますが、「標準管理規約」ではこの時期が年度終了後2か月以内となっています。さらに最近分譲のマンションのほとんどは、年度終了後3か月以内開催と定められています。

「区分所有法」の1か月以内では、皆に周知して集まるのが短すぎるということで「標準管理規約」では2か月とし、さらに最近分譲マンションでは決算書類作成に時間がかかるので余裕をもって3か月としています。

また、総会のお知らせ時期に関しても「区分所有法」では総会開催の1週間前、「標準管理規約」では2週間前となっており、ほとんどのマンションでは2週間前というのを採用しています。

更に議決要件として「区分所有法」では普通決議可決には、議決権総数の過半数が必要なのに対し「標準管理規約」では参加者の過半数と決議のハードルが下げられています。

同じ過半数でも、議決権総数のそれと参加者のそれとでは大きく異なります。

以前は普通決議を議決権総数の過半数としていたマンション管理組合もありましたが、最近ではほとんどが参加者の過半数としています。

このほか、代理人要件などは「標準管理規約」でさえ5年の改正ごとにコロコロ変わりますので、各マンションによって大きく異なっています。

この“法律と異なる規定を集会や規約でマンション独自に決めていい”としている任意規定とは異なり、“法律通りでなければならない。法律と異なることを規定しても無効”とされている規定もあり、これは強行規定と呼ばれます。

もっとも代表的なものが規約の改正や、共用部分の重大変更です。この議案の決議要件は特別決議とされ、議決権総数の4分の3以上の賛成が必要とされています。

この4分の3という要件を、5分の4にあげても、反対に3分の2に引き下げてもどちらも無効とされます。

当然ですが強行規定に関しては、「標準管理規約」もそれぞれのマンション管理規約も「区分所有法」に従っています。

そこに住まう人が生活しやすいように規約を改正するのは望ましいのですが、アンタッチャブルな強行規定があることに注意が必要です。