マンション管理士の独り言・・・1342

マンション管理士の独り言・・・1342

「自転車」

新築間もないマンション管理組合さんからのご依頼で「快適なマンションライフのために」の表題でセミナーを開催しました。

密にならないように心がけながら先週末に開催しました。

なるべく多くの方に聞いていただけるよう4回も開催しましたが、それでも都合つかず聞き逃した方がいるようです。

聞き逃した方が、セミナーに参加された方から“面白かった。知らないことがあって、勉強になった”という感想をお聞きになり、“もうセミナー開催は無理だろうから、「独り言」にアップしてほしい”というご要望をいただきました。

そこで「快適なマンションライフのために」の「独り言」バージョンをつぶやきます。

先ずは、「自転車」です。

仲のいい3人がいます。AさんBさんCさんです。

3人で自転車を買おうということになりました。ナフコで7000円です。

Aさんが4000円、Bさんが2000円、Cさんが1000円出しました。

Aさんは7000円出したので持ち分は7000分の4000を約分し7分の4。

Bさんは7分の2、Cさんは7分の1となります。

1週間7日ありますので、このうちAさんは4日。Bさんは2日。Cさんは1日使うこととしました。

Cさんは、“たった1日だけ?”って不満そうですが、“1000円しか出していないから仕方ないよな”で納得しました。

土日祭日はどうするか?で少し揉めましたがそこは仲のいい3人組です。話し合いで決まりました。

Bさんが乗っているときに運悪くパンクしちゃいました。パンクしたままだったら自転車に乗れないので修理するしかありません。Bさんは700円出してパンクを修理しました。

後日、Aさんに400円、Cさんに100円を請求しました。

これに対しAさんが、“Bさんが乗っていた時にパンクしたんじゃん。Bさんの責任だから全額負担してよ”です。

Cさんは、“まだほとんど乗っていないのに、修理費出すのは嫌だ”です。

段々雲行きが怪しくなってきましたが、しかしここは仲のいい3人組です。

AさんCさんもそれぞれの分を支払って解決しました。

この時自転車は黒色です。黒色に飽きてしまったAさんが、“赤い色に塗り替えたい”って言い出しました。BさんCさんは反対です。Cさんに至っては“まだほとんど乗ってなくてやっと黒色に愛着が出てきたのに赤色に塗り替えるのは嫌だ”です。

これに対しAさんが、“自分は持分で7分の4と過半数持っている。過半数持っているものの意見が反映されるのが民主主義じゃん“と民主主義まで持ち出して意見を通そうとします。

この意見に対しBさんが、“持ち分割合でみれば確かに7分の4だけど、共有者3人のうち2人が反対しているのだから、こっちの方を優先すべきだろ”と主張します。

しばらく話し合っていますが、Aさんは頑として自分の意見を譲りません。

Bさんが折れました。“Aさんはジャイアンみたいな人だから言い出したら聞かない。ここは折れて赤色に塗り替えることとしよう”と言い、しぶしぶCさんも同意しました。

ますます雲行きが怪しくなってきました。

赤い色に塗り替えた自転車を見ていたDさんが、この自転車をたいそう気に入りました。“この赤色の自転車売ってくれない。7000円で買うよ”です。AさんBさんは大乗り気です。“買った時の値段で売れるならこんないい話はない。売ってしまおう”です。

ところがCさんが大反対です。“赤い色もなかなかいい。この自転車に愛着も出てきた。絶対売りたくない”です。

AさんBさんは、“持分からすると7分の4+7分の2で7分の6。更に3人のうち2人が売るって言ってんだから売らなきゃダメでしょ”と主張し説得します。

しかしCさんは頑なに拒み続けます。

こうして自転車を共同購入するほど仲の良かった3人ですが、自転車について共有関係になったが故に仲違いしてしまった、というお話でした。

これを民法では「共有は紛争の母」って言います。

じゃ、マンションではどうするの?っていうのが次回のお話です。