マンション管理士の独り言・・・1343

マンション管理士の独り言・・・1343

「自転車の反省点」

前回は、仲のいい3人でお金を出し合って自転車を買ったまでは良かったが、使う順番やパンクの修理費用、更には色の塗り替え、売却などの対応で段々と仲が悪くなり、ついには仲違いをしてしまった。という事例についてつぶやきました。

これを民法では「共有は紛争の母」といいます。

2人以上の複数人、多人数で1つの物を共有すると紛争が起こりやすくなるので、民法ではなるべく共有関係を解消しようとしています。

そもそも共有関係になるのは、自転車の例でもあるように友達関係とか、相続が発生した場合の親族間などのように、少なくとも知ったもの同士というのが普通です。

しかしマンションの場合は、見たこともなければ、話したこともない、年齢も違えば、家族構成も違う、年収も学歴も社会的地位も異なる全くの赤の他人が共用部分について必然的に共有関係になります。

仲のいい友人関係でさえ共有になるとトラブルが生じることがあるのに、全くの赤の他人同士では・・・と危惧されます。

これを未然に防ぐために管理規約や使用細則があるのです。

マンション購入者は、購入に際して予め管理規約や使用細則をよく読んで、 “総会はこんな手順で開催されるんだな”“工事発注する時はどの様な手続きで何人が賛成すれば承認されるんだな”“理事長や監事の役割はこうなっているんだな”“ペットを飼うならこのルールを守んなきゃいけないな”“ピアノは何時まで弾いていいんだな”など内容を理解して、“少し窮屈そうだけど、自分は規約や使用細則を守るからみんなも守ってね”と約束して入居するというのが大前提となります。

例えばピアノを弾いていい時間が使用細則で20時までと決められているマンションで21時にピアノを弾いてはいけません。ピアノを21時まで弾いたって何の法律・条例に反するわけではありませんが、このマンションでは弾いていいのは20時までと決まっているからダメなのです。使用細則義務違反です。

ピアノを弾くのは20時までと定められている使用細則を守るって約束して購入しているのだから、約束は守ってよ、となります。

自転車を買った仲のいい3人は何故仲違いをしたのか?何がいけなかったのか?

それは自転車を買う際に、“パンクの際は誰がどのように修理して費用負担はどうする”“色を塗り替える時は何人の賛成が必要で費用負担はどうする”さらに“売却する際は何人の賛成が必要”ということを予め決めて、それを理解し、守ると約束してから購入するべきだったのです。

何か問題やトラブルが発生する都度、皆で集まって話し合って決めようとしたからジャイアンみたいな大きな声の人の意見が通ることになってしまうのです。

自転車とマンションとは購入額も大きく異なりますが、共有関係になるという意味では同じです。

既にマンション購入した人は、管理規約読んでます?管理規約を守るって約束して購入しているってこと知ってますよね?