マンション管理士の独り言・・・1344

マンション管理士の独り言・・・1344

「誌上セミナー その3」

先週末に新たにお世話することになった管理組合さん向けに「快適なマンションライフのために」という表題でセミナーを開催しました。

そのセミナーに都合つかず参加できなかった人からの要請で独り言で主な内容をつぶやいています。

前回、前々回の独り言では、仲のいい3人で自転車を買い、共有関係になったことで様々なトラブルが発生してしまい、挙句ケンカ別れしてしまった。

分譲マンションではそうならないように予め管理規約や使用細則で共有物の維持管理の方法を定めている。

マンション購入者は、“自分はその管理規約を守る。みんなも守ってね”って約束して入居することが前提で成り立っている、ってことをつぶやきました。

今回は専有部分と共用部分についてです。

仮に505号室を購入した人は、何住戸もある大きな建物の中の区分された1戸を購入するってことになり、区分所有権を得ることとなります。

それと同時に廊下・階段・外壁・基礎・屋上・集会室など共用部分と言われるものの共有持ち分を購入することになります。

取得する共有持ち分は、購入した住戸の面積に比例しますので50㎡の住戸を購入した人は全体の50。

100㎡の住戸を購入した人は全体の100の持ち分を取得するってなります。

専有部分以外のものを共用部分と称し、法定共用部分と規約共用部分とに分かれます。

法定共用部分は、廊下・階段・外壁・基礎・屋上などのように誰が見てもマンション購入者全員の共有物だってわかるもののことで、これは登記されません。

誰が見たって皆の共有物なので登記する必要がないってことです。

これに対し規約共用部分というのは、例えば集会室やスタディルーム、キッズルームのようにこのマンションにはあるが、他のマンションにはないという設備や、それのみで専有部分となりうる設備のことを指します。

規約共用部分は登記(表示登記のみで可)しないと第3者に対抗できないものです。

マンションが建っている敷地についても同様で、購入した住戸の面積に比例した持ち分を取得するってなります。

共用部分の中には専用使用部分というのがあります。玄関ドアやサッシュ、バルコニーなどがそうです。

505号室についている玄関ドアは、その住戸区分所有者のものでいいじゃないか、と思われる方もいますが、これにはちゃんとした理由があります。

分譲マンションは多くの方が住んでいて、不特定多数の人の出入りがあります。

だから火事になった時に大惨事にならないように火に強い建物でなければなりません。

建築基準法上の耐火構造物です。

建物躯体は火に強い鉄筋コンクリートです造られていますが、中に使っている材料や仕上げについても火に強いものでなければならないという制限があります。

玄関ドアも、そうです。もしその部屋で火事が発生しても玄関ドアを閉めていれば廊下階段に燃え広がらないという火に強いドアを使うよう義務付けられています。

具体的には摂氏700℃の火に15分以上耐えうる甲種鋼板ドアでなければなりません。

そこでもし505号室の玄関ドアをその住戸の区分所有者のモノにしてしまったら、その人が、“こんなスチール製の玄関ドアは嫌いだ。木製の立派なドアに取り換える”って言い出したら、管理組合としてダメですよって言えなくなっちゃいます。

その人のモノならばその人がどう処分しようがその人の勝手だからです。

それではマンション居住者の安全が確保できないから、という理由で玄関ドアは専有部分でなく共用部分の中の専用使用部分とされています。

誰か頭のいい人が考えたんですね。つぶやき主ではありません。