マンション管理士の独り言・・・1346

マンション管理士の独り言・・・1346

「誌上セミナー ちょっとだけ構造」

今回の誌上セミナーは構造についてつぶやきます。

分譲マンションには、大勢の方が暮らしています。また不特定多数の方の出入りもあります。そんな大勢が生活しているマンションで火事になったら大事です。

万が一火事になっても大惨事にならないようにマンションは火に強い構造物でなければならないと定められています。建築基準法で「耐火構造物」と定められています。

さらにマンションは街中に建てられますので、都市計画法上の防火地域やあるいは準防火地域に建てられることが多く、その意味でも火に強い建物でなければなりません。

だからマンションは鉄筋コンクリートで造られています。

鉄筋コンクリートとは文字通り「鉄筋+コンクリート」で造られています。

鉄筋については説明するまでもありませんが、コンクリートの方は少し説明が必要です。

水+セメント=セメントペースト。左官さんは“ノロ”なんていって接着剤代わりに使ったりします。そして水+セメント+砂=モルタル。更に水+セメント+砂+骨材(ジャリ)=コンクリートとなります。

水:セメント比というのがあります。

セメントペースト10作るのに、水が4でセメントが6の場合と、反対に水が6でセメントが4の場合では前者の方がセメント量が多いので、コンクリー強度が優れていることが一目瞭然です。

これを水:セメント比と言い、前者は40%、後者は60%と呼びます。

数字が少ない方が、セメントペースト成分中、水の比率が少ないことを表し、それだけ強度のあるコンクリートということに成ります。

市中マンションでは水セメント比は55%が標準的です。つまり水が55%でセメントが45%です。

セメントはPH14くらいの強アルカリ質です。鉄筋は水に触れ空気にさらされると酸化して錆びちゃいます。錆びると体積が2.4倍くらいに膨張します。

鉄筋コンクリートの建物で中の鉄筋が錆びて膨張し周りのコンクリートを押し出す現象を“爆裂”と呼びます。

鉄筋コンクリート造りは、鉄筋が発錆しないように強アルカリ質のコンクリートで被覆しているのです。

だからなるべく水セメント比は小さい方が、それだけセメントの量が多くアルカリ質も確保されるということとなります。

門司の海岸線のマンションでは、塩害による影響を抑えるため通常よりセメント量を多く用い水セメント比が45%という建物もあります。

ただしあまりセメント量が多いとコストアップにつながるのは勿論ですが、ワーカビリティといって職人さんの仕事効率が悪くなる傾向にあります。

水が少ない分だけ流動性がなく、作業効率も悪くなり、また夏場のコンクリート打設なんて早く仕上げないとコンクリートが固まっちゃいます。

街中マンションならば55%でOKですが、海岸近くなら50%位あった方がいいかもです。

次回も構造になりそう。