マンション管理士の独り言・・・1347

マンション管理士の独り言・・・1347

「誌上セミナー・・・今回も構造」

前回に続いて鉄筋コンクリートについて、もう少し。

コンクリートの中に埋め込まれている鉄筋が雨水で濡れ、空気にさらされちゃうと酸化して発錆し、周りのコンクリートを押し出す“爆裂”という現象が生じちゃいます。

それを防ぐため(鉄筋の酸化を防ぐため)に、鉄筋を強アルカリ質のコンクリートで被覆しているのです。

鉄筋をどれだけ被覆しなければならないかについても建築基準法に定められています。

この被覆の厚みを“かぶり厚”と称します。

壁は2cm、柱は3cmの被り厚を最低でも確保しなければなりません。

このほか、直接土に接する部位には更に厚みが求められています。

コンクリートはPH14くらいの強アルカリ質です。

しかし長年風雨にさらされたり(特に最近では酸性雨)、また排気ガスなどの影響もあり、段々と当初のアルカリ質が減少しPH10とか11くらいに中性化していきます。

コンクリートの中性化は、コンクリート強度そのものを減少させることはありませんが、アルカリ質が減少する分だけ鉄筋が錆びやすくなってしまいます。

そこで最低限のかぶり厚を確保するよう義務付けられています。

新築マンションのパンフレットには、かぶり厚についての表示もありますので要チェックです。

モノの強さを表す物差しは2つしかありません。

上や横から押されたときにどれだけ耐えられるかを示す圧縮強度。もう一つは両端からの引っ張りに対する引張強度の2種類です。

鉄筋を想像してください。これを両端から持って力を加えると真ん中付近で難なく曲げることができます。つぶやき主でも出来ちゃいます。鉄筋は、“圧縮強度は弱い”です。

しかし鉄筋の両端を持って引きちぎろうとしても引きちぎれません。“引張強度は強い”です。

一方のコンクリートとは言うと・・・。

上からや横から押さえつけても押しつぶすことは出来ません。コンクリートは、“圧縮強度は強い”です。

これに対し両端を持って引きちぎろうとすると人間の力では無理ですが機械ならば割と簡単に破断させることができます。“引張強度は弱い”です。

このように鉄筋コンクリート造とはお互いの弱いところを相手方の強さで補っている構造なのです。

ただし鉄筋コンクリート造は水を含んだ工法ですから、次工程に入るまでの間には、十分な養生期間が必要です。

一般的には、1フロアー1か月の養生期間と言われています。

3月の年度末物件では、何とか3月引き渡しに間に合わせるために、養生期間が十分でない物件もチラホラ見られます。

建築工期はパンフレットでも確認できます。確認申請年月日から竣工日までの期間がそうです。確認申請が下りる前に着工するような馬鹿な業者さんはいません。

しっかりした十分な工期が確保されているかどうかも要チェックです。