マンション管理士の独り言・・・1348

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「誌上セミナー・・・床コンクリート厚」

床コンクリートの厚みは遮音性能のうち特に重量衝撃音に深く関係してきます。

コンクリートの塊をスラブと呼びますが、コンクリートの厚みは遮音性能に直結します。

一般的に100mmのコンクリートスラブに100dbの音をぶつけると反対側には55dbとなって聞こえます。

100mmのコンクリートスラブを通過することにより音が低減するのです。これを透過損失と言います。コンクリートスラブの厚みを増せば増すほど透過損失は大きくなります。

住宅で言えば、床コンクリートスラブ厚が厚ければ厚いほど遮音性能が高まるということになります。

市内マンションでは200mmの床コンクリートスラブが一般的です。

このコンクリートスラブの厚みをもっと大きくすればするほど遮音性能がよくなるのですが、それだけ重量が増し、その床を支える柱や梁も大口径にしなければならなくなります。柱・梁が大きくなればコストアップにつながるのは勿論ですが、大きな柱により部屋が狭くなってしまいます。大きな梁が天井から出っ張り圧迫感があります。

そこでコンクリートスラブ厚を大きくしながらも軽量化したのがボイドスラブです。

ボイドとは中空を指します。コンクリートスラブの中を空間にしてその部分に発泡スチロールを入れ込んでいます。

これによりコンクリートスラブの厚みを確保しながらも軽量化を図っているのです。

以前は中空部分に鋼管を入れたものもありましたが反響しちゃうので最近では分譲マンションではほとんど使われなくなっています。

ボイドスラブの場合、市内マンションでは275mmが標準的な厚みです。

またボイドスラブの場合には、小梁が天井に出てこないという見かけ上の長所もあります。

コンクリート床スラブ厚は特に重量衝撃音に関係してきます。何度もつぶやきましたが重量衝撃音とはお子さんの飛び跳ね音に代表されるようにズシンズシン、またはドスンドスンという音です。音域では63ヘルツくらいの音です。

多くの建物、分譲マンションを見てきたつぶやき主の感想では、在来スラブ200mmとボイドスラブ275mmとでは在来スラブの方が上階からの重量衝撃音に対しては遮音性能が高いような気がします。

小梁がないぶんだけ床面積が大きくなり、このことは階下への遮音性能の低減をまねきます。同じ床スラブ厚でも床面積が5㎡と10㎡とでは、5㎡の方が階下への遮音性能が優れているっていうのは感覚的にもわかるはずです。

最近のマンションは、床と天井の仕上げは2重床2重天井が一般的です。

コンクリートの床に更にもう一つ床を自立させる工法です。置床ともいわれます。

床コンクリート表面から置床下端(パーティクルボード下端)までは20cm程度の空間があります。

更に外壁も15センチ厚のコンクリート外壁に接着剤を混ぜた拳大のGLボンドを貼付け、その上に9,5mmの石膏ボードという工法が主流です。(GLボンド工法)

GLボンドとGLボンドとの間にウレタンを被覆することもありますが、外壁にも床下にも空気や音が通る空間があることになります。

ボイドスラブにGLボンド工法、2重床2重天井と音が通過する空間だらけです。これら工法を用いるにしても設計者や施工者は、購入者が将来騒音トラブルに巻き込まれないような工夫や仕様を考えてください、です。