マンション管理士の独り言・・・1349
「誌上セミナー・・・給水方式」
前回までは躯体(主に鉄筋コンクリート造)についてつぶやきました。
今回は給排水設備についてつぶやきます。
鉄筋コンクリートでの構造、柱や梁・基礎などは人間の体に例えると筋肉や骨に相当します。そして給排水設備は血管にあたる部分です。
何階であってもカランをひねれば水が出てきます。給水です。
以前は受水槽給水方式、受水槽+高置水槽給水方式などが主流でした。
前面道路からマンション敷地内の受水槽へ一旦水を貯めてそれをポンプで各戸へ給水する方式が受水槽給水方式です。
さらに一旦受水槽へ貯めた水をポンプで建物屋上の高置水槽へ持っていき、各住戸へは重力で給水する方式が受水槽+高置水槽給水方式です。
どちらも敷地内の受水槽へ一旦水を貯めるので、受水槽を清潔に保つ必要があります。
このため受水槽の清掃を年に1回行うよう義務付けられています。
10㎡を超える受水槽(大体50戸超マンション)の場合には、清掃に加えて更に年に1度の点検(残留塩素濃度など)が義務付けられています。
最近の分譲マンションでは、直結増圧給水方式が一般的です。要するに戸建てと同じです。前面道路から直接各住戸へ飲用水を供給する方法です。
配水施設は高いところに造られており、それよりより低い位置にある2階くらいまでは、自然給水できますが、配水施設よりも上の階についてはポンプで給水します。
仮に15階建てマンションの場合、最上階へ給水するためには、ポンプでかなりの圧をかけることとなります。
しかし、15階で適正な圧のままでは3階ではカランをひねるとすごい水流となってしまいます。
そこで、どこの階でも適正な水圧となるよう3階に一か所くらいの割合で減圧弁が設置されています。
清潔な水を供給するという責任においても受水槽方式と直結増圧給水とでは違いがあります。
原則として、市水道局の給水に関する責任の分岐点は敷地内の最初にカランがあるところまでです。
従って受水槽があればそこについているカランまでが水道局の責任となりますので、受水槽以降の水質などに関してはマンション管理組合の責任ということになります。
これに対して直結増圧給水では、最初のカランの各戸のメーターボックスまでですから管理組合の責任範囲はそれだけ少なくなっています。
また、北九州市では各戸の水道メーターは北九州水道局の貸与となっています。
水道メーターは計量法により8年に一度取り換えなくてはなりません。
北九州の場合には、水道メーターは市からの貸与ですから取り換え費用(1戸当たり約2万円)はかからないことになります。
すべての公共団体が水道メーターを貸与しているわけではありませんので、北九州は手厚いサービスと言えるでしょう。
以前は一括給水方式としているマンションもありましたが、この場合は敷地内の親メーターのみが市からの貸与で各戸のメーターは管理組合のものとなっています。
ですから一括給水方式の場合には8年ごとに取り換え費用がかかる仕組みとなっています。
最近では一括給水方式としているマンションはあまりないようなので、知らなくてもいいかな、です。